2011年5月10日(火)「しんぶん赤旗」

浜岡原発を全停止

中部電力、首相要請受け入れ


 中部電力は9日、臨時取締役会を開き、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止を決定しました。現在運転している4号機と5号機を停止し、現在、定期点検中の3号機の運転再開を見送ることにしました。1号機と2号機はすでに廃炉が決まっています。


 中部電力の水野明久社長は同日の会見で浜岡原発の停止を決めた理由について「首相の要請は極めて重いと受け止めた」と語りました。また、「50ヘルツ地域への電力融通を取りやめる」と述べ、東京電力管内への供給を停止することを明らかにしました。

 同原発について、日本共産党は30年前から東海地震の震源域の真上にあるとして停止を要求、地元では原発停止を求めて運動が広がっていました。地震学者からも「そもそもつくるべきではなかった原発」と指摘されてきたものです。

 定期点検中の3号機と稼働中の4、5号機を合わせた最大出力は約360万キロワットに上ります。全面停止により夏場の電力需要に対応した安定供給策が課題です。

 同社は、臨時取締役会で、全面停止を受け入れる前提として、安全対策を強化した後の原発再稼働の確認、地元自治体への財政支援などを政府に求めました。

 菅直人首相は、浜岡原発の全原子炉の運転を停止するよう中部電力に要請していました。文部科学省の地震調査研究推進本部の評価を基に、30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性が87%と切迫しているとして、防潮堤設置などの中長期対策が完了するまで運転を停止するよう求めていました。

経産相 「浜岡だけ」

 同日記者会見した海江田万里経済産業相は、「浜岡原子力発電所は耐震安全対策はこれまで適切に講じられてきており、法令上の安全基準は満たしている」「同発電所の耐震性能自体を問題にするものではない」と述べました。さらに、現在運転中および再開を控えているほかの原発については「安全上支障がない」とし、今回の措置は浜岡原発だけのものであることを強調しました。


 浜岡原発 中部電力唯一の原発で、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉1〜5号機。1号機の営業運転開始は1976年。1、2号機は、耐震補強に巨費がかかるとして廃炉を決め2009年1月に運転終了。3号機は定期点検中で7月に運転再開方針を示していました。4、5号機は運転中。





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