2011年5月9日(月)「しんぶん赤旗」
原発段階的廃止など強調
日弁連が意見書
日本弁護士連合会(日弁連)は、原発の新増設の停止、既設の原発の段階的な廃止などを含んだ「エネルギー政策の根本的な転換に向けた意見書」をまとめ、7日付で菅直人首相、松本龍環境相、海江田万里経済産業相に提出しました。
意見書は、原発を推進するため、電力会社と政府関係機関が一体となって原発の「絶対の安全性」を喧伝(けんでん)し続けてきたことが、原発の安全対策の不備、そして今回の東日本大震災による東電福島第1原発の大事故を招来した大きな原因と指摘しています。
政府が昨年6月、発電に占める原子力の比率を2030年に30%から50%に高めることを含むエネルギー計画を閣議決定し、さらに14基の原発を増設しようとしてきたことにふれ、「今回の原発事故と電力危機は、これまでのエネルギー政策からの決別を迫っている」と強調しています。
具体的には、「持続可能性を基本原則とするエネルギー政策にすること」「エネルギー製造・供給事業の自由化を促進し、発電と送電を分離すること」「エネルギー政策が多くの国民に開かれ、国民の積極的な参加を促すものとすること」など8項目を提案しています。
このなかで、原発については、「国全体あるいは周辺諸国にまで回復不可能な損害をもたらす危険性をはらむ」と指摘。新増設の停止とともに、段階的な廃止を実行するために、「老朽化している原発の速やかな運転停止」や、中部電力浜岡原発など、「巨大地震が切迫し、大きな地震動・津波に襲われる危険性がある地域にある原発の運転停止」などを求めています。それ以外の原発についても、地震・津波の対策が十分かどうか点検し、安全性が確認できないものは、その対策が完了するまで、運転を停止すべきだとしています。
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