2011年5月9日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 大型連休期間中、全国から被災地にボランティアがかけつけました。その数、1日8千人とも。がれきの撤去や清掃の作業が進む一方、「連休後も参加して」との声も伝わってきます▼被災地ではありませんが先月、都内に設けられたある避難所で、ボランティアをする高校生と出会いました。そこには、福島県いわき市などから原発被害を逃れ、50人ほどが避難していました。その小学生の1人が、「僕、サッカーをしたい」との思いを口にしました▼ボランティアの高校生がすぐ動きます。近所にグラウンドを確保し、周りの仲間らに声をかけると、小学生から高校生まで20人以上も集まりました。サッカーを通じ、皆がすぐに打ち解け、喜々とボールを追いかける姿がそこにありました▼数日後、さらに交流が広がります。そのメンバーが、避難所の子と家族を招き、手づくりの「食事会」を計画します。会場の手配、会の運営を高校生たちでやり、食事はお母さん方のボランティアを募って▼招かれたお父さんは言いました。「私がもし皆さんの立場だったらこんなことができただろうか。いまは何もお返しができません。でも、もし今後、私が同じ立場になったら、困った人たちを支えたい。皆さんがしてくれたように」。小さな会場が優しい思いにあふれました▼被災者とボランティア。心を寄せ合い、つながり合う。そんな交流が、被災地でも無数に生まれたに違いありません。それが、明日を拓(ひら)く力になると信じたい。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp