2011年5月8日(日)「しんぶん赤旗」

事業の継続 がれき撤去 機材の回収…

国の支援 切実

志位・市田氏 岩手で


 東日本大震災の被災地入りしている日本共産党の志位和夫委員長と市田忠義書記局長らは7日、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市で被災した市民から現状と要望を聞き、同県釜石市でも避難所で被災者と懇談しました。


写真

(写真)陸前高田市の被災地を見る志位和夫委員長(左から3人目)、市田忠義書記局長(同2人目)ら=7日、岩手県

陸前高田市

市民の力で復旧・再生

中里前市長を訪問

 志位氏らはまず、日本共産党員の中里長門前市長の自宅を訪問。中里氏は、あとを引き継いだ戸羽太市長の就任(2月)直後に、2千人近い死者・行方不明者を出す被害を受けたことに、「なんともいえません」と苦しい胸中を語りました。同時に「8年間市民の力でつくってきた市政です。震災はあったけれど、市民の力で復旧・再生させたい」と決意を語りました。

 志位氏は、同市が大震災にあたっても「市民が主人公」の立場を貫き、住民の信頼を強めていること、党市議団も及川一郎市議を震災で亡くすという不幸の中で、藤倉泰治、大坪涼子の両市議が被災者支援に頑張っていることに敬意を表し、「たいへんな大災害ですが、これをのりこえ、みんなの力でつくった民主市政を発展させるため、いっしょに力をつくしましょう」と語りかけました。

いまだ がれきの山

粉塵の中、市街地を視察

 市街地はまだ一面がれきの山。ひしゃげたりひっくり返った自家用車、家具などが散乱しています。木造家屋はほぼすべて流され、わずかに残ったコンクリートの大型建築物も4階まで津波で窓が破れ、中がくりぬかれたような状態です。

 粉塵(ふんじん)の中、視察を続けた志位氏らに、藤倉市議は「商店街から公共施設まで全部被害を受けました。市庁舎では屋上まで波につかりながら、125人が難を逃れましたが、市民会館に避難した方はほとんど亡くなっています」「地震発生から30分間それぞれ避難しましたが、まさかこれほどとは思わず亡くなった方や、お年寄りをみていた方が亡くなりました」と話しました。

基盤回復は国の責任

被災者と懇談、要望実現へ決意

 志位、市田両氏らは戸羽市長と懇談した後、市内の東部農協センターで各地の避難所などから集まった住民約70人と懇談。志位氏は「国へのご要望などなんでもお聞かせください」と語りかけました。

 自身も避難生活を送っている陸前高田商工会の阿部勝也会長は、約700の会員事業所の中で8割の560事業所が被災し、138の事業主が亡くなったと説明。「私もすべてを失ったが、65%の会員が事業の継続を望んでいます」と国の支援を求めました。

 市農業委員会の石川満雄会長は、同市の圃(ほ)場(水稲)600ヘクタールのうち400ヘクタールが被災したと述べ、家屋や農業機械が流失したうえ、もとからの借金も残るなど「マイナスからの出発だが、せめてゼロになるまでの資金の支援をお願いしたい」と語りました。圃場のがれき撤去や塩害除去などの整備は個人では限界があり、「国の財政は厳しいと思うが、国の予算の占めるウエートは大きいと思います」と支援を求めました。

 カキの養殖をしていた男性は、「船も岸壁も壊れ、国に早い対応をしてもらわないと三陸の漁業は終わってしまう」と発言。「船を提供してもらい海に出ないと機材などの回収作業も進まない。陸で眺めていても気持ちがなえるだけです」と語りました。

 志位氏は「みなさんがたいへんつらい思いをしながら、新しいまちをつくろうと頑張っていることが胸にしみました」と述べ、すべての要望の実現に尽力する決意を表明しました。

 その上で「憲法でも生存権や幸福追求権などが保障されており、一人ひとりの被災者の再出発の基盤を回復するのは国の責任です。必要なことは新たな制度をつくってでもやらせなければなりません」と話しました。

 また、「財源の心配もあるでしょうが、ぜひ、生きるために必要なものは必要だと要求していただきたい。財源を考えるのは国の責任であり、知恵は出せば出てきます」と強調。大企業・大金持ちへの2兆円のバラマキ減税をやめるだけでも10年間で20兆円もの財源は出てくるし、大企業の244兆円の内部留保を復興に活用することもできると伝え、奮闘を約束すると被災者から拍手が起こりました。

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(写真)避難所で被災した人やボランティアの人たちに話を聞く志位和夫委員長(右手前から3人目)、市田忠義書記局長(同4人目)=7日、岩手県釜石市

仮設入居後のフォローを 避難所訪問

釜石市

 志位、市田両氏は、岩手県釜石市でも、現在62人が避難生活を送る旧釜石商業高校の避難所を訪れ、被災者らと懇談しました。

 ひざを折って、食事や仮設住宅への入居など暮らしの状況や要望を尋ねる志位氏らに、六十八歳の女性は「仮設住宅は今建てていて入居希望がとられています。お墓もあるし、住んでいた地域を離れたくないという人が多いです」と話しました。

 志位氏らは避難所を運営する市地域包括支援センターの福田伸子相談員らに話を聞き、激励。福田さんは「今は顔なじみ同士で、大変なこともお互いさまという感じで暮らしていますが、仮設に入ってからの方が心配です。フォローが必要になると思っています」と話しました。





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