2011年5月8日(日)「しんぶん赤旗」
「米におもねる日本」 「外交交渉の資格なし」
秘密公電 沖縄の怒り呼ぶ
「米におもねる日本外交」「公約と真逆の裏交渉を進めるやり方は、国民不在もはなはだしい」(沖縄タイムス7日付社説)「日本政府には外交交渉の能力も資格もない」(琉球新報5日付社説)
内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米軍普天間基地「移設」問題をめぐる米秘密公電―。そこに生々しく叙述されている日本「外交」の対米追従ぶりに、沖縄では地元メディアをはじめ怒りが噴出しています。
まずやり玉に挙がっているのは、「(普天間基地の移設先は)最低でも県外」と公約した鳩山由紀夫民主党代表が首相に就任した直後の2009年10月12日の日米協議です。
席上、長島昭久防衛政務官(当時)はキャンベル国務次官補らに対し、防衛省内の検討は米政府の結論と近似しており、北沢俊美防衛相は同県名護市辺野古に移設するという現行案を「最も強く支持する現実主義者の一人」と耳打ちしました。
その直後、長島氏の抜けた昼食会では、同省の高見沢将林防衛政策局長が米側に対し「長島氏の評価に過度に満足してはいけない」と指摘。「再編計画を調整している途中であまり早く柔軟な姿勢を見せるべきではない」と“忠告”しました。
また米側は同年12月10日、日米安保を担当していた3人の外務官僚から意見を聴取。3人とも「米政府は民主党政権に過度に妥協的であるべきではなく、(辺野古移設を定めた)ロードマップについて譲歩する意思があると誤解される危険を冒すべきでない」と強調しました。
さらには辺野古移設反対を掲げた稲嶺進氏が当選した名護市長選直後の10年1月26日、松野頼久官房副長官(当時)は在日米大使館に、政府が「普天間の県外移設を考慮するのは『形の上』」だとし、「県外移設」はポーズにすぎないことをひそかに伝えました。
冒頭の琉球新報社説が「他国にこびるあまり、自国の国民を平然と裏切る人間に、外交交渉をする資格などない」「この国は事実上、米国の属国として世界史に刻まれるのではないか」と厳しく批判しているのは当然です。
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