2011年5月8日(日)「しんぶん赤旗」

本格復興へ 2次補正予算案焦点に

政府・与党 先送りの動き

共産党 「復興口実に増税」を批判


 東日本大震災の復旧費などを盛り込んだ2011年度補正予算が成立し、本格的な復興対策が求められる2次補正予算案が焦点になっています。ところが政府・与党からは今国会には提出せず、先送りする動きが強まっています。


 2次補正について菅直人首相は「復興構想会議が提示する青写真のことも考え、検討する」と表明(1日)。野田佳彦財務相は「税と社会保障の一体改革の成案後の作業だ」(同)と明言しています。

 復興構想会議の提言と、税と社会保障の一体改革の取りまとめはいずれも6月末。そうなれば2次補正予算案の編成は7月以降となります。国会の会期末は6月22日であり、会期延長しなければ2次補正予算案の審議はできません。そのため、国会は閉じて、2次補正編成後の8月末ごろに再開する案も浮上しています。これに関しては、「首相を交代させようとする勢力との対決を回避する戦略もある」(「東京」3日付)と党利党略のねらいが指摘されています。

 1次補正は仮設住宅建設やがれき撤去など当面の復旧に必要な経費が盛り込まれました。復興に欠かせない幹線道路や港湾などの本格的な復旧、新たな町づくりや農・漁業など産業復興に対する予算措置もこれからです。

 1次補正に盛り込まれた事業でも、2次補正で上積みが求められるものも少なくありません。たとえば、住宅再建に最大300万円が支給される生活再建支援制度。1次補正では520億円が追加されましたが、都道府県の拠出した基金と合わせても1000億円程度しかなく、基礎支援金100万円を10万人に支給すれば底をついてしまいます。

 支援金は住宅再建に見合う金額へと抜本的に引き上げる必要があり、菅首相は「支援金の引き上げが必要」とのべた自らの発言に責任を持つべきです。

 さらに、「マイナスではなく、せめてゼロからのスタートを」との切実な声に応えて、借金返済の心配と負担をなくし、再建へ集中できる条件をつくることは国の責任です。住宅の二重ローンの解消をはじめ農業・漁業・水産業、中小企業再建のための直接支援が不可欠です。雇用を確保するためにもこうした支援は急務です。

 もちろん、復興にあたっては日本共産党が主張しているように、「計画は住民合意で、実施は市町村が主体に、財源は国が責任を持つ」という原則を貫くべきです。国が上から押し付けるやり方はとるべきでないことはいうまでもありません。

 見逃せないのは、2次補正先送りの口実とされている復興構想会議の提言と、税と社会保障の一体改革の取りまとめの中身です。

 復興構想会議では住民から意見も聞く前から、「復興」を口実に増税路線が打ち出されるなど上から青写真を押し付ける動きが強まっています。

 税と社会保障の一体改革でねらわれているのも、「復興」や「社会保障」を口実にした消費税の大増税です。

 この動きについて日本共産党の志位和夫委員長は、復興の全体像の議論も提示もないもとで「増税先にありきの動き」であり、消費税増税は「被災地にものしかかり被災者の苦しみに追い打ちをかける」「家計と消費に打撃を与え、日本経済をいっそう疲弊・破壊し、国をあげての復興をすすめる活力を奪う」と批判しています。

 被災者の切実な要求にも応えず、復興を押しつぶす増税を押し付けることは、二重三重に許されません。  (深山直人)





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