2011年5月7日(土)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
ミツバチは1秒間に200回以上も羽ばたきをする、といいます。うなる羽音が、ひょっとしたら地球の回転に影響をおよぼしているかもしれないって?▼科学の謎解きはさておき、記録映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の主人公は、豊かな海とともに生きる山口県・祝島の島民たちです。対岸に原発をつくる計画に反対し、たたかい続けています▼圧巻の場面が、海上対決です。電力会社の社員が、抗議に集まった島民に船の上からよびかけます。“1次産業だけで島がよくなると本当にお考えか。お年寄りばかりの町になって…”。すかさず、島の青年がやりかえしました▼“どんだけきびしかろうが、祝島の人間は、自分たちの力でがんばっているんだ”。漁業や農業だけではありません。太陽光発電などで島のエネルギー自給率をあげる試みも、すでに始まっています▼映画は途中、自然エネルギーの利用で活気づくスウェーデンの町も紹介します。共鳴する、祝島が発する羽音とスウェーデンの羽音。この“ミツバチの羽音”の響き合いを地球に広げるため、一人一人になにができるのでしょう▼連休中もう1本、記録映画をみました。「100,000年後の安全」。フィンランドが、原発の廃棄物を地中深く埋める巨大なゴミ捨て場を建設中です。放射性廃棄物が無害になるのは10万年後。科学者は心配です。いまの言語で危険な所と記しても、数万年後の人類に通じるのか。人類が解き放った原子力の、なんというとんでもなさ…。