2011年5月7日(土)「しんぶん赤旗」
困難かかえる「在宅被災者」
浸水の自宅で生活
「親戚にずっと世話にはなれないので戻ってきた」―。東日本大震災で壊れたままの自宅や、津波被害は免れてもライフラインが断たれたままの自宅で暮らす「在宅被災者」がいます。
全壊と判定され、1階を補修する自宅の2階で妻と2人で暮らす岩手県宮古市の70歳の男性は「水道は通っているが台所が壊され2階でカセットコンロを使って料理している」といいます。2階の畳まで浸水し、1階部分は住めないほど壊されましたが「ここの他に行くところがない」。
宮城県石巻市の女性(76)は足が悪く、避難所の外にある仮設トイレに行くことが困難なため、自宅に戻ってきました。浸水した自宅の1階で暮らしています。同市の調査によると、在宅被災者の約2割の世帯で介護や治療などを必要としているといいます。
岩手県大船渡市にある200人が滞在する避難所の責任者は、多いときには1回に900人ほどの食事を扱う場合があるといいます。「支援物資がきても避難所にいる被災者と、自宅にいる被災者と分配する割合が難しい」と話しました。
警察庁の調べでは避難所で生活している人の数は6日現在、岩手県で3万7482人、宮城県で3万5923人となっています。また岩手、宮城の両県によると、「在宅被災者」数は、岩手が2万4224人(1日現在)、宮城は約2万6000人(4月末現在)としています。
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は4月29日の予算委員会で「在宅被災者も災害救助法による援助の対象になるはずだ」と質問。避難所以外の人たちにも食料と飲料水、生活必需品の提供を迫りました。細川律夫厚生労働相は「当然対象となる。十分支援が行き届くようにやっていきたい」と回答しています。(東日本大震災取材団)