2011年5月3日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 〈かりそめに死者二万人などといふなかれ親あり子ありはらからあるを〉〈人々の嘆きみちみつるみちのくを心してゆけ桜前線〉▼俳人の長谷川櫂さんは、3月11日の大震災の夜から突如湧き上がり、あふれ始めた言葉を短歌のリズムに刻み続け、『震災歌集』を出版しました。印税は被災者への義援金として寄付されます▼東日本大震災と福島第1原発事故のすさまじい惨状を前に、言葉は無力だと打ちひしがれた人も多いでしょう。しかし長谷川さんは、言葉こそが現実に向き合うための糧であり、人の心を動かす力であると言います。〈「日本は変はる」「変へねばならぬ」といふ若者の声轟(ごう)然(ぜん)と起これ〉▼住まいも土地も、生活手段も愛する人をも無残に奪われ、原発事故の危機収束は遠く、今なお13万人に近い被災者が厳しい避難生活を送っています。この過酷な現実を見据え、変革していく、確かなよりどころとなる言葉とは何か。鮮烈に立ち上がってくるのは、「人類普遍の原理」に基づく「崇高な理想と目的」をうたった「日本国憲法」です▼「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(前文)を持つ私たち国民は、幸福になるために生きているのであり(13条)、平和を希求し(9条)、健康で文化的な生活を保障されるべき(25条)、一人ひとりが、かけがえのない存在である▼復興にあたっても、憲法の言葉を力に、その理想に向かって声を上げ、連帯を強めていきたい。きょうは64回目の憲法記念日です。





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