2011年5月2日(月)「しんぶん赤旗」

この5・6月から公約実現の国民的運動

党勢の本格的な上げ潮を

2011年5月1日 日本共産党中央委員会書記局


(1)

 いっせい地方選挙での全党の奮闘に心から敬意を表します。

 東日本大震災のもとで、いま日本の政治は、大きな激動のもとにあります。被災者支援、復興をどうすすめるか、復興の財源をどうするか、原発・エネルギー政策をどうするか、福祉・防災の国づくりをどうすすめるかが、国政の熱い争点となっています。日本共産党の真価が問われる激動の情勢が日々進展しています。

 こうしたもとで5・6月の活動で何が大切でしょうか。

 一つは、2中総決定、3月23日の「全国決起集会」の報告、4月11日と25日の二つの常任幹部会声明にもとづいて、いっせい地方選挙のとりくみから、教訓と総括を引き出し、それをただちに生かした活動にとりくむことです。

 二つは、選挙戦の公約実現、国民要求実現のためのたたかいに打って出ることです。党が選挙戦の中で訴えた、被災地の救援・復興、原子力行政とエネルギー政策の抜本的転換、「福祉・防災のまちづくり」などの政策は多くの共感を広げました。公約実現の国民的運動をあらゆる分野でおこすことです。

 三つは、選挙戦の最大の教訓である「党の自力の不足」という大問題を解決する新たな第一歩を、この5月から何としても踏み出すことです。全党の知恵と力を総結集して、何としても党勢拡大の新たな上げ潮をつくりだすことです。

 この三つの仕事を一体にとりくみ、5・6月から日本共産党の新しい上げ潮の流れをつくりだすために、力をつくそうではありませんか。

(2)

 公約実現、国民要求実現のためのたたかいでは、まず何よりも東日本大震災の救援・復興のたたかいを、被災地はもとより、全国民的運動としてとりくむことが必要です。

 被災者の命を守るために、避難生活の改善、仮設住宅の大規模かつ早急な建設・確保などあらゆる手だてをとることを強く求めましょう。すでに党としてとりくんだ救援募金は6億円を超えましたが、さらに救援募金活動を強めることを訴えます。被災地でのボランティア活動に大いにとりくむことを呼びかけます。

 復興にあたっては、上からのおしつけではなく、「生活再建、地域再建こそ、復興の土台」という大原則が大切です。被災者が人間らしい生活をとりもどすために、住宅再建のための個人補償の抜本的充実、農林漁業や中小企業の再建のための公的支援、医療・介護・学校・保育園・自治体など地域社会を再建するために、従来の枠組みにとらわれない公的支援を国に求める国民的運動をすすめようではありませんか。

 原発事故の収束に総力をあげるとともに、原発政策の根本的転換を求める国民的運動を発展させましょう。政府と東京電力に、福島原発事故が「人災」であることをはっきりと認めさせ、「安全神話」と決別した安全最優先の原子力行政への転換、東電に全面的賠償の責任を果たさせるたたかいをすすめましょう。そして、大事故の経験をふまえ、政府にたいして、原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限をきめたプログラムを策定することを強く求める国民的な大運動をおこそうではありませんか。

 大震災は、日本の国のあり方、その弱点を根底から明るみに出しました。「自己責任」の名で雇用、福祉、医療、防災、地方自治を破壊してきた「構造改革」路線では国民の命を守ることができないことが、誰の目にも明らかになりました。選挙戦のなかでかかげた「福祉・防災のまちづくり」を実現し、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をめざすたたかいをあらゆる分野で発展させましょう。

(3)

 昨年9月の2中総決定は、「党の自力の問題にこそ参議院選挙の結果からくみ出すべき最大の教訓」があることを明らかにするとともに、党勢の新たな上げ潮をつくる「五つの挑戦」――(1)結びつきを基礎に「支部が主役」の党活動をつくる、(2)綱領的・世界観的確信を全党のものにする、(3)党員拡大と「しんぶん赤旗」読者の拡大、(4)職場支部の活動を本格的前進の軌道にのせる、(5)党のもつあらゆる力を結集して青年・学生分野の前進をはかることを呼びかけました。

 それから7カ月。2中総決定にもとづいて全党は新たな努力を開始し、全国各地ですぐれた経験もつくりだされています。しかし、この大事業は、始まったばかりであり、成果はごく初歩的なものです。今回のいっせい地方選挙は、「自力の不足」という大問題を解決する途上での選挙となりました。まだこの分野で本格的前進をつくりだすにいたっていないことが、選挙戦での前進にとって最大の障害となったことは、全党のみなさんが共通して感じられたことだと思います。

 この教訓にたち、5・6月から、党勢の新たな上げ潮をつくる「五つの挑戦」を本格的に前進させるため、全党が総力をあげることを訴えます。日本の国のあり方が根本から問われる激動の情勢を切り開くうえでも、強く大きな党づくりは、文字どおり急務であり、国民にたいする責任にもなっています。

 とりわけ、「党の自力の不足」という場合、根本は党員拡大の遅れにあることを、強調しなければなりません。選挙戦で党に協力し、ともにたたかってくれた方々が数多く存在するなど、いま党員拡大の条件が大きく広がっています。全国のすべての地区委員会が、この5月から、2中総決定が呼びかけた「毎月1人以上の新入党員を迎える」という目標を必ずやりとげましょう。「毎月1人以上」という目標は、都道府県・地区委員会がその気になりさえすれば、必ず達成可能な目標です。2中総決定の後、この目標をやりあげた月はまだありませんが、今月、全党が心一つにこれを達成するなら、「強く大きな党はつくれる」という全党の大きな確信と自信になることは疑いありません。みんなで力をあわせて何としてもやりぬこうではありませんか。このとりくみをすすめるうえでも、多彩な内容、形態で「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」「集い」を縦横に発展させることは大切です。

 また、この5月から「しんぶん赤旗」の読者拡大を、何としても前進の軌道にのせるために、「支部を主役」に、あらゆる知恵と力をつくしましょう。震災・原発問題と新しい日本のあり方をめぐって、国民は真実の政治とは何かを真剣に模索しています。民主的世論を形成、発展させるうえで「しんぶん赤旗」の果たす役割がいよいよ大きくなっています。党員が日刊紙をよく読むことは、全党が一丸となって政治的激動にたちむかううえで決定的に重要です。日刊紙読者を広く増やすために特別の努力をしましょう。

 情勢の劇的な展開のもとで、その前途を照らし出す綱領路線への確信、科学的世界観への確信を、全党が培うことは、いよいよ大切です。「綱領・古典の連続教室」は、今月の10日(古典)と24日(綱領)から再開されます。現在、全国的には2万5千人を超す方々が受講していますが、これをさらに広げましょう。5月からの新しい受講者へは、過去6回の講義のDVDの事前視聴など、丁寧な援助をおこなうことが大切です。

 選挙戦は、党機関の指導力量や問題点を、明らかにすることにもなりました。中央も、地方も、機関が質量ともに力をつけることが求められています。2中総決定に立ちかえり、指導改革の到達点と問題点を自己検討し、さらに努力をはかりましょう。

(4)

 4月11日の常任幹部会声明は、「大きな目で現在の情勢をみれば、大震災という災厄は、多くの人々の政治にたいする見方を変えるような政治的激動をつくりだしつつあります」「危機のもとで、ジグザグや試行錯誤をともないながらも、国民が政治の真実とは何か、日本共産党の主張にこそ真実があるのではないかという認識を発展させる可能性があります」とのべています。

 いま現に進行している政治的激動のもとで、わが党が、広く国民のなかに打って出て、国民運動でも、党建設でも、新たな前進をかちとり、この可能性を現実のものにするために、力をあわせ奮闘しようではありませんか。





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