2011年5月2日(月)「しんぶん赤旗」
被災地 増える肺炎
粉塵吸い込み発症
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東日本大震災の被災地で重い肺炎を発症する人が増えています。肺炎をきっかけに寝たきりになる高齢者や、亡くなる事例も出ており、医療関係者が注意を呼びかけています。
被災地で医療関係者が注目しているのが、津波が運んだヘドロの粉塵(ふんじん)を吸い込んで重い肺炎を発症する事例。いままでの震災では知られていない、新しい症例です。
また過去の震災と同様に、歯磨きや入れ歯の手入れが不足し雑菌が繁殖した唾液が気管に入って誤嚥(ごえん)性肺炎を起こす高齢者が増えています。
震災後、宮城県石巻市の石巻赤十字病院では、通常の約4倍の肺炎患者が受診、すでに十数人が亡くなっています。
同市立門脇中学校では粉塵吸入での健康悪化を重大とみて、張り紙などで注意喚起しています。一方、危険性が伝わっている避難所は少なく、「ヘドロで肺炎とは初耳」(石巻市内の避難所に拠点を置く医療チーム)と、被災者を支援する医療関係者への周知も進んでいません。