2011年5月1日(日)「しんぶん赤旗」

2011年度補正予算案

笠井議員の賛成討論


 30日の衆院本会議で採決された2011年度補正予算について、日本共産党の笠井亮議員が行った賛成討論は次の通りです。

 日本共産党を代表して2011年度補正予算3案に賛成の討論を行います。

 地震・津波の発生から50日以上が過ぎましたが、いまなお13万人を超える被災者がきびしい避難生活をしいられています。

 重要なことは、救援の手を被災者のすみずみにまで届けきることであります。

 温かい食事や風呂もなく、医師や保健師の巡回もないなど劣悪な状態に置かれている避難所は、早急な改善が求められます。被災者に人間らしい生活を保障するために、希望者全員が入れる仮設住宅を一刻も早く建設することをはじめ住宅確保のあらゆる手だてを尽くすことが必要です。

 被災者の生活再建を支援するために、義援金や災害弔慰金、被災者生活再建支援法にもとづく基礎支援金を早急に被災者に届けきること。被災者生活再建支援金は、住宅再建に見合う金額へと抜本的に引き上げる必要があり、菅総理は「引き上げが必要」と述べた自らの発言に責任をもつべきであります。

 被災者が「マイナスではなく、せめてゼロからのスタートを」できるように、借金返済の心配と負担をなくし、再建へ集中できる条件をつくることが国の責任です。住宅二重ローンの解消、農業、漁業・水産業、中小企業の再建のための直接支援も不可欠です。

 提案されている補正予算の内容は必要最低限のものであり、さらなる改善・拡充が必要であります。

 次に、財源の問題です。わが党は、補正予算の財源は、法人税減税や証券優遇税制の延長の中止、原発の建設推進予算の中止、不要不急の大型公共事業の中止、米軍への「思いやり」予算の中止、政党助成金の廃止などで確保すべきだと主張してきました。

 ところが、政府は、こうした方向ではなく、政府自身が基礎年金の国庫負担割合を2分の1とするための財源に充てるとしていた「埋蔵金」約2兆5000億円を転用するとしました。目の付け方にそもそも問題があります。しかも、転用した年金財源の穴埋めは、税制抜本改革・消費税増税によってまかなおうとしているのであります。こうしたやり方は断じて容認できません。

 また、昨日、民主・自民・公明3党がかわした補正予算に関する合意文書で、年金財源に関して「社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題」としていることは看過できません。

 わが党は、年金財源のありかた、今後の震災財源についての政府方針に対しては、大いに異議があり、消費税増税路線にくみするものではないことをはっきり言っておきます。

 そのうえで、急を要する今回の震災の救援・復旧のための予算に賛成するものです。

 最後に、東京電力福島原発事故についても言っておきたい。

 いま政府がやるべきことは、これまでの「安全神話」が誤りであったという見地に立って、第一に、事故の拡大を防ぎ、一刻も早く事態を収束させるため、東電に「工程表」の根拠データを公開させ、内外の英知を集め、収束の見通しを明らかにすることです。

 また被害補償については、30キロ圏内に限定したり、農業・漁業被害などを対象外とするのではなく、原発に起因するすべての被害を補償することを明確にさせることが必要です。

 さらに、今回のような深刻な事故が起こりうるとの前提で、原子力行政を根本的に見直すことです。新増設計画は直ちにやめ、全国54カ所すべての原発の総点検を急ぎ、安全が確保されない原発は直ちに停止するなど、「あってはならない事故」の危険をなくす努力を真摯(しんし)に行うべきです。原発依存から脱却し自然エネルギーへの転換の道を決断すべきであります。

 以上を指摘し、被災者のみなさんの元の生活を取り戻したいという切実な思いを実現するため、被災者のみなさんと一緒に力をあわせていくことを表明し、討論を終わります。





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