2011年5月1日(日)「しんぶん赤旗」
主張
第82回メーデー
復興へ、団結と決意を示そう
きょうは第82回メーデーです。8時間労働制を求めるアメリカの労働者のたたかいから始まったメーデーは、人間らしい働き方と暮らしをめざす国際的連帯の日として発展してきました。ことしは東日本大震災と福島原発危機という戦後最大の国難に立ち向かい、新しい日本への復興をめざす労働者・国民の団結と決意を内外に示す特別の意義をもっています。
被災者・国民が主人公で
いま全労連をはじめとする労働組合は、ボランティアを組織し、民主団体とも共同して、全国で募った資金や物資を被災地に届け、救援活動に奮闘しています。避難所以外へのきめ細かな物資の届け、瓦礫(がれき)の撤去、清掃、労働相談や利用できる制度の周知など、労働組合の連帯の精神、組織力と行動力を発揮しています。
被災地の雇用・労働問題は、津波で工場が破壊され、やむなく廃業即解雇など、きわめて深刻です。全国的にも、部品・原材料の供給網が寸断されたための休業による賃金カットや「派遣切り」などの労働相談が、各県労連などに次々と寄せられています。
雇用を守ろうとする経営者もいますが、震災を口実に安易な首切り・賃金カットに走る経営者もいます。大企業の「派遣切り」や社会保険庁の「分限免職」、日航の「整理解雇」など、「新自由主義」路線のもとでの無法で乱暴な解雇の横行が、「首切り自由」の風潮をつくりだしたことの反映です。労働組合の力の発揮と「働くルール」の確立が求められています。
被災者・被害者の切実な要望を国や自治体などに届け、施策の改善をはかるのも、労働組合の重要な活動です。復興方針は、被災者の切実な声を土台に、被災者・被災地を主人公にして民主的に立てられなければなりません。
ところが、「復興」を名目に消費税増税や赤字国債の日銀引き受けなど国民犠牲の税財政政策がもくろまれ、さらには環太平洋連携協定(TPP)参加や「地域主権改革」推進で「経済活力」をなどと、これまでの「構造改革」路線に弾みをつけようとする動きもあります。“火事場泥棒”的やり方といわなければなりません。
米軍の「トモダチ作戦」を利用して「日米同盟強化」をいいたてる論調も目立ちます。
救援と復興をめぐっても、メーデーがかかげてきた「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本」をめざす道か、大企業中心・アメリカ追随の道かが鋭く問われています。
大震災が起きた3月11日を境に、多くの人々が日本の経済社会と政治のあり方を真剣に考え直しはじめています。地域の絆、支えあうことの大切さ、原子力行政とエネルギー政策、大量消費や24時間型社会などについてです。無責任さをさらけ出した東電や危機に立ちすくむ政権、原発を推進してきた政党にも厳しい目が向けられています。
新生日本への第一歩
国民の模索と探求に応えるのは私たちです。「復興財源に大企業の内部留保活用を」「原発依存から自然エネルギーへの転換を」「雇用確保で生活再建を」などの要求を高くかかげ、第82回メーデーを、新生日本へ転換する第一歩となる記念すべき総決起集会として、大きく成功させましょう。
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