2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」

保育園の待機児童解消へ

市政動かしてきた共産党議員団


 いのちを守り、くらし・福祉最優先の地方政治への転換をめざして、日本共産党議員団は各地で住民とともに奮闘しています。子育て支援のための基盤とネットワークづくりも大切な課題です。保育園の待機児童解消へ、市政を動かしてきた札幌、川崎両市でのとりくみを紹介します。


札幌 “実数は倍近い”と暴露

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(写真)札幌市(手前側)に保育の現状などを訴える札幌保育連絡会の人たち=3月、札幌市

 人口190万人を超す札幌市の保育園の待機児童は、厚生労働省に報告している「公式」な待機児童数は1767人ですが、実態は2654人であることがわかっています。

 急増する待機児童の解消を求めて、園児の父母や保育士らでつくる札幌保育連絡会や福祉保育労、新婦人などが署名やパレードで市民に訴え、市議会への陳情や市との交渉も繰り返してきました。

 現在、市はこうした運動におされて、2011年度に、新築11カ所、増改築6カ所などで、保育定員を「昨年度を480人上回る1300人増やす」としています。

静まりかえる議場

 市が待機児童解消に取り組むようになったのは、09年10月に日本共産党市議団が「市発表の待機児童数が事実と異なる」と暴露したことがきっかけです。

 札幌市が同月1日に発表した待機児童数は585人。前出の保育関係者から党市議団に「実際の数はもっと多いのでは」という声が寄せられていました。

 実際のカラクリはこうでした。区役所の申込用紙には、入園したい保育園を第3希望まで書き込めますが、兄姉と同じ施設を望む場合や、第1希望しか記載しない市民もあり、市はこれらの市民を「特定保育所への固執者」とみなして、待機児童の対象から外していたのです。

 党市議団が、代表質間で「本当の待機児童は1123人だ」と明らかにすると、議場に驚きが広がり、静まりかえりました。

 次年度の10年4月、市は「子ども未来局実施プラン」で、「過去30年間で最大の保育所建設」を打ち出し、5年間で3500人の待機児童解消をめざすとしました。

 党市議団は「それでも遅すぎる。2年で3500人のペースで進めるべきだ」と議会などで毎回質問。札幌保育連絡会や福祉保育労と連携して「プランを前倒しして保育園の新・増改築を急ぐよう」求めました。

 その結果、プラン実施1年目の10年度は1000人程度解消し、市はさらにプランの前倒しを表明。党市議団の提案したペースで進んでいます。

「論戦が決定打」と

 党市議団の宮川潤幹事長は「市長も『2014年度までに4000人解消』を掲げるようになりました。女性の社会進出や共働きしなければならない昨今の情勢が背景です。潜在的な数はもっと多い」と話します。

 福祉保育労道地本の岡秀子書記長は「日本共産党市議団の諭戦は決定打でしたね」と言います。「でも、待機児童がゼロになればいいということで、保育所の定員基準を水増しして詰め込むというのは問題です。保育の質を下げないよう予算を増やすことが必要」と安上がり保育を警戒します。

 札幌保育連絡会と福祉保育労は3月にも市と交渉。日本共産党の金倉昌俊氏(前道議候補)、井上ひさ子市議団長、坂本恭子市議も同席し、待機児童対策・保育所建設について説明を受けました。現行の公的な保育制度を解体する「子ども・子育て新システム」に札幌市が反対を表明するよう求めました。(宮下進)

川崎 用地確保の具体案提起

人口比で全国最悪

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(写真)川崎市の公立保育園の民営化問題を話し合った共産党市議団主催のシンポジウム=08年12月

 川崎市(人口約143万人)の保育園不足は深刻です。認可保育園の待機率は政令市ワースト2(2009年度)。申請しても入所できない人数は、10年10月時点の待機児童数で3607人にのぼり、人口比で全国最悪です。

 市は07年4月には待機児を解消できると直前の3月議会で強弁していましたが、そのわずか1カ月後に解消できないと表明。市長が謝罪する異例な事態となりました。

 その後、「保育緊急5カ年計画」を策定し、入所枠を増やしたものの、申請者数は09年4月に1万6400人に達しました。市は昨年10月、3カ年で4000人の認可定員増を発表しました。

 日本共産党は、保護者・保育士ら市民と連携し、議会のたびに保育園増設の規模とテンポを引き上げるよう求めてきました。市の増設計画の見直しと引き上げをリードしてきました。(表)

 党市議団は用地のないことが増設のすすまない要因であることから具体的な用地確保の提案もしてきました。10年6月議会では党市議団が提案した「認可保育所等の整備のための国・県有地の提供を求める意見書」が全会一致で可決されました。

 その後、市から県への「2011年度要望書」に県有地・県有財産の貸付制度の創設が初めて盛り込まれました。11年度予算に市内初の国有地を活用する保育園増設が計上されました。また、党市議団の提案を受けて、市が土地所有者と保育事業者とのマッチング事業をとり入れると発表、「新保育基本計画」にも盛り込まれました。

民営化中止を訴え

 しかし、問題なのは“待機児解消”などを理由にしながら毎年5園の公立保育園の民営化を盛り込んだことです。民営化は待機児解消につながらず、実態は保育士の人件費を削減する「行革」が目的であることがこの間の論戦や市民運動の中で明らかになっています。

 市民や共産党は、保育を経費削減の対象にすべきではない、営利を目的とした企業認可保育園への参入を許可すべきではないと主張してきました。これがもっとも悪い形で的中したのが、08年10月の株式会社エムケーが経営する認可保育所「ハッピースマイル」の突然の閉鎖でした。日本共産党市議団は子どもの健やかな育ちは公的責任でしっかり保障すべきであり、公立保育園の民営化はやめるべきだと主張しています。(党川崎市議団事務局長 白井久江)

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