2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」
国内外で部品不足
東日本大震災で供給網寸断
海外にも影響
東日本大震災で、東北地方の臨海地域の工場が破壊されるなど、地元の製造業は甚大な被害を受けました。自動車の部品などを製造している工場も多く、その影響は日本だけでなく海外にも及んでいます。(中川亮)
自動車メーカー主要8社の3月の国内四輪車生産台数は、57・5%減と大幅に落ち込みました。4月に入り国内の自動車の完成車工場は再開したものの、生産量は通常の5割程度です。
生産を調整
自動車は約2万〜3万点の部品で構成されています。部品一つでも欠けると生産ができません。震災の影響で自動車メーカー各社は、「電子部品などの供給が少なくなっている」(日産自動車)、「エンジンの部品や電子部品の入荷量が少なくなった。長期的に見ると余震などのリスクもあるので、供給は不安定」(ホンダ)という状況です。
トヨタ自動車も「電子部品やゴム、塗料など150点の部品の調達に支障が出ている」としています。
同社は、4月下旬から北米での減産を拡大し、通常より約7割減産。中国でも生産調整を行っています。資材の調達から生産、流通、販売を通じて、製品・サービスが消費者に渡るまでの「サプライチェーン(供給網)」は海外へもつながっています。大震災は、このサプライチェーンを破壊したのです。
日銀の白川方明総裁は14日、震災の日本経済への影響について「代替可能性の低い部品や素材がサプライチェーンに組み込まれており、その影響が大きい」と大震災の影響を懸念。さらに、「その影響は国内にとどまらない可能性」があると指摘しました。
代替は困難
東北地方は、日本と世界のものづくりの土台を支えてきました。工業統計調査(経済産業省)によると、2009年の東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)の製造品出荷額等は、14兆7000億円です。そのうち、電子部品・デバイス・電子回路の製造品出荷額等は約1兆8000億円で、全国の12・4%を占めています。大手メーカーにとっても東北地方から供給されていた各部品の代替は容易ではありません。
帝国データバンクの仙台支店の担当者は、「再建には時間と資金が必要であるけれど、東北の製造業が供給する部品などへの需要は大きい」と語ります。東北地方の復興は、日本のものづくりの再建にとっても欠くことのできない課題です。
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