2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「ジャズの帝王」とよばれたトランペット奏者マイルス・デイビスの、「パンゲア」という曲集があります。1975年の大阪での演奏を記録しています▼パンゲアとは、ギリシャ語で「すべての土地」。収めている曲は二つです。「ジンバブエ」。アフリカの国の名です。当時、人種差別をやめない白人政権に対する、黒人のたたかいが盛んでした▼もう一曲が「ゴンドワナ」。いまの南アメリカ・アフリカ・インド・オーストラリア・南極が一つだったというので付いた、大陸の名です。アフリカ系アメリカ人のマイルスは、祖先の故郷の成り立ちに思いをはせたのでしょうか▼「パンゲア」の名付け親は、ドイツの学者ウェゲナーです。1910年代に彼は、一つの超大陸パンゲアが約2億年前に分かれ始め、いまの姿になったと唱えます。大陸移動説。彼は、ゴンドワナともう一つの大陸ローラシアが陸続きのパンゲア像を描きました▼大胆すぎて「たわごと」と笑われ、30年にウェゲナーが亡くなると立ち消えた大陸移動説。しかし、半世紀後によみがえります。プレートテクトニクス理論です。地球の表面をつくる十数枚の岩板(プレート)が少しずつ動く。ガリレオの「それでも地球は動く」にならえば、ウェゲナーは「それでも大陸は動く」でしょう▼東日本大震災も、プレート同士の境界がずれて起こりました。人の力では止められない地球の運動から人の命と生活をどう守るか。そこから先、科学だけでなく主には政治の仕事です。





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