2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」
難航する仮設住宅建設
用地探して現状確認 市町村「手が回らない」
東日本大震災の被災地の一部では仮設住宅への入居が始まっています。しかし、3万8000人以上の被災者が避難所生活を送る宮城県でも4月29日現在、完成した仮設住宅は1312戸。必要数の4%にすぎません。仮設住宅建設は難航しています。(矢守一英)
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仮設住宅建設では、国、県、市町村で役割分担があります。国が資材を住宅業界に注文して確保し、市町村が用地を確保し、実際に仮設住宅を建設するのは県です。
難題は用地の確保です。宮城県は、必要とする3万戸のうち、4月下旬までに着工できるのは約9000戸にとどまります。県の担当者は、被害が大きい沿岸部では平地が少ないことを理由にあげます。浸水した土地での建設を国が認めていないため、被災市町村以外の用地や離れた場所に建てざるを得ないといいます。南三陸町ではすべての用地を町内で確保することができず、一部を隣接する市に建設しています。
仮設住宅は、津波の被害を受けていない土地や公有地での建設が原則です。民有地でも建設は可能ですが、無償で提供を受けることが原則となっています。
仙台市では、公有地として、都市再生機構(UR)の所有地や公園、グラウンド、小学校建設予定地などを対象に確保しています。市の担当者は、「公有地についてはほぼ当たりつくした」と話します。市では、民有地の確保も急ぐ考えです。
用地の確保と同時に、その土地の現状を確認する作業も自治体が担っています。
石巻市では、担当職員が連日、候補に上がった用地に足を運び、下水や電気などの敷設ができるかどうかといった確認に追われています。民有地の場合は、所有者が変わらないことなどが条件になり、「建設用地として確定するまでには時間がかかる」(市の担当者)といいます。
石巻市では、いまだに1万人を超す人が避難所で生活しています。仮設住宅は1800戸余りの着工のめどがついただけです。「民間賃貸住宅の借り上げなども含め、対策は考えているが、人手が足りず、手が回らない」と、担当者はこぼします。