2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」
福島原発
圧力低下で注水減量
1号機“水漬け”作業続く
東京電力は29日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力容器を“水漬け”にする作業に関連し、注水量を1時間当たり10トンから、6トンに減らしたと発表しました。原子炉格納容器内の圧力が低下して大気圧に近づいたため、元の注水量に戻しました。大気圧より低くなると、空気が流入して、水素爆発の危険性が高まるといいます。
1号機では、核燃料を冷却するため、格納容器内を圧力容器ごと水で満たす作業を行っています。27日から、圧力容器への注水量を1時間当たり6トンから10トンに試験的に増やしていました。試験開始後、1・6気圧近くあった格納容器の圧力が急低下。29日午前5時現在で1・1気圧になり、同日午前10時すぎ、注水量を同6トンに戻しました。
東電は、注水量をこれ以上増やさなくても水漬けの状態が少しずつ進行するとみています。ただロボットによる原子炉建屋の調査を同日実施しましたが、格納容器からの漏えい箇所や漏えい量はまだ特定できていません。
事態の収束には、水面から一部露出している核燃料を冠水させ、安定的に冷却する循環システムを構築することが必要です。東電は、格納容器を経由する循環冷却システムを構築する場合には、水漬け作業が必要だとしています。
一方、3号機のタービン建屋地下につながる地下配管トンネルにたまった汚染水は、立て坑の水位が29日、前日夕方より1センチメートル上昇して94センチメートルになるなど、上昇傾向が続いています。東電は、原子炉建屋か地下水からの流入の可能性があるが、流入経路はわかっていないと説明しています。
2号機タービン建屋地下などにたまった高濃度汚染水の集中廃棄物処理施設への移送作業は、ホースなどの点検のためいったん中止していましたが、30日に再開する予定です。
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