2011年4月29日(金)「しんぶん赤旗」
家屋損壊 復旧「個人では無理」
岩手・一関 行政の支援急いで
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3月11日に発生した大地震と4月7日の余震で震度6弱を記録した岩手県一関市。家屋の損壊などが相次ぐ深刻な被害に見舞われています。住民からは「自力での修繕は負担が大きすぎる」と行政へ支援を求める声が上がっています。
市街地の西に位置する赤荻(あこおぎ)地区。同地区の一部は2008年、県によって、土砂災害の警戒区域に指定されています。道路は所々で亀裂や陥没があり、ブロック塀は崩れ落ちています。地盤のずれで傾き、壁や窓ガラスが割れてしまっている住宅や1階部分が完全につぶれてしまった家もあります。避難のため親類に身を寄せたり、すでに引っ越した住民もおり、留守の家が目につきます。
同地区で農業を営む男性(63)は重機を使って崩れた土蔵の壁の撤去をしていました。自宅は3月11日の本震で屋根瓦が1階、2階部分ともに落ちてしまいました。本震から数日後、115万円かけて、2階部分の屋根瓦をトタンに張りなおしました。
1階部分の屋根を自分で修繕し終えた数時間後、震度6弱の余震が襲います。家は大きく傾き、土蔵の壁は落ち、離れにある母親の部屋は柱が折れ内壁を突き破りました。応急危険度判定で危険と判定されました。
「修繕したと思えば、また余震でダメになる。代々受け継いできた土地だが、ここにはもう住めなくなるかもしれない」。「この家を全部直すには1軒建てるより高くつくだろう。支援をもらわないととてもじゃないけど無理だよ」と話します。
震災発生から市に寄せられた住宅被害に関する相談件数は約1500件。同市内の全壊件数は19、半壊件数は40。市内862件を対象に応急危険度判定を行い、危険判定は137件、要注意判定は377件です。
市企画振興部の伊東吉光広聴広報係長は7日に発生した余震以降、相談件数の増加が続いていると話し、「本震で地盤が弱くなったところへのたび重なる余震。特に7日の余震が被害を拡大させたと考えられる」と述べました。
同市花泉町、大東町、東山町などでも住宅被害が確認されており、住民からは「取り残されはしないか」「自分の家も倒壊するかもしれない」など不安の声が上がっています。
日本共産党の一関市議団は、こうした被害地域に、被災者支援制度をまとめて紹介した「手引」を配り、住民の要望などを聞く活動を行っています。 (秋山豊)
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