2011年4月27日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 東日本大震災の津波被害は北海道から千葉県まで広範囲にわたります。それぞれに悲惨な光景があります。宮城県仙南地方の海岸に立つと、自分がどこか別の天体にいるかのように思えてきます▼すべてを押し流され、遠い先まで見渡せるようになった陸地。集落があった痕跡は家の土台だけです。紙くずのように丸まった自動車、枕木ごと宙に持ち上がった鉄道の線路が破壊力のすさまじさを示しています▼太平洋に向かって大きく開けた仙台平野から、仙南の名取市、岩沼市、亘理町、山元町の沿岸には荒涼とした平原がどこまでも広がり、福島県へと続きます。1カ月以上たつ今も、どす黒くなった海水が田畑に残ります▼濃い塩分を含んだ農地には稲も野菜も育ちません。国は除塩事業を国庫補助の対象にする方針です。ただ、再び耕作できるようになるまで何年もかかります。その間の生活を国がどう保障するか。農家に失業手当はありません▼「15年ほど前、1俵(60キロ)2万円だった生産者米価が今8000円」「国はTPP(環太平洋連携協定)参加だなんて農業をないがしろにしてきた」。避難所で聞いた農民の声です。「政府が農業についてビジョンを示してほしい」とも▼「自宅から遠くても農地さえあれば通って耕作する」。床上浸水した自宅の2階で暮らす仙台市の農民はこう言いました。自宅、農地、農機具を失っても多くの農民はあきらめていません。その気持ちにどうこたえるか、国の姿勢が試されています。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp