2011年4月27日(水)「しんぶん赤旗」
主張
政党助成金
せめて返上し復興支援に回せ
東日本大震災の救援活動のさなかだというのに、日本共産党以外の各政党に約80億円の政党助成金が配分され、批判を呼んでいます。
民主党42億647万円、自民党25億2867万円、公明党5億6883万円をはじめ、みんなの党、社民党、国民新党、たちあがれ日本、新党日本、新党改革が数億円から数千万円を受け取りました。これは年4回の交付の1回分で、年間では320億円もの税金を9党で分け取りします。国難が叫ばれ、被災地の救援・復興に大きな財源が必要なのに、せめて返上する見識さえ無いのでしょうか。
政治はたしなみ見せよ
政党助成金は政党支持にかかわりなく、国民1人当たり250円の税金を各政党に配分する憲法違反の制度です。日本共産党は制度が始まった1995年以来、受け取りを拒否しています。
もともと税金のムダづかいという批判は根強くありました。とくに東日本大震災以降、テレビや新聞、週刊誌などで、各党に助成金返上を求める世論が沸騰しています。たとえば朝日新聞24日付の「天声人語」は「震災増税が言われる中、被災者に尽くすべき者が炊き出しに並んでいるような違和感を覚えた」と痛烈です。
大災害で多くの国民が塗炭(とたん)の苦しみを味わっています。お手盛りの税金分け取りを遠慮しようと考えるのが、政党として、政治家として、いや人間として、最低限のたしなみではないでしょうか。
批判に耐えかね民主党議員は、政治家に禁止されている寄付行為にあたるから返上はできないと弁明しています。ああ言えばこう言う式の屁(へ)理屈でしかありません。
政党助成金は政党側の請求で交付されます。日本共産党は登録・請求を行わず受け取りを拒否しています。9政党がそろって請求を取り下げれば320億円はまるまる国庫に残ります。
「政治も身を削る」というせりふが好きな民主党、自民党などは、議員歳費の3割削減を決めました。日本共産党も歳費削減に賛成することにやぶさかではありませんが、これで出てくるお金は21億円にすぎません。政党助成金の320億円とはケタが違います。「復興財源をいうなら政党助成金にこそメスを入れるべきだ」という日本共産党の主張に、いずれの党もまともに答えることができません。
民主党本部の収入にしめる政党助成金の割合は83・8%、自民党は70・9%、9党全体でも約60%で、いずれも税金丸抱えという現実があります。「日本には個人献金の風土がない」と言い張り、国民一人一人と結びついて地道な財政活動をする努力をしていないから、政党助成金の返上で糧道を断たれるのはたまらないという情けない現状があるのです
国民は納得できない
テレビ番組で政党助成金を復興に回せと主張したタレントの愛川欽也さんは、日本共産党が助成金を拒否していることに着目して「『いらない』って言ってる党もつぶれもせずにやってるじゃないか」と発言しました。卓見です。
税金頼みの政党は国民から遊離し、政治の質も劣化します。いわんや国難のときです。各党はこれまでの姿勢を改めて助成金を返上し、政党助成金制度そのものの廃止に踏み出すべきです。