2011年4月27日(水)「しんぶん赤旗」
首都の私大生 生活困窮
仕送り額が過去最低
東京私大教連調査
「平均仕送り額も私大生の1日の生活費も、過去最低を更新」―東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連、内藤光博委員長)が1985年から毎年行っている調査で、首都圏の私立大学に通う学生の生活実態が「過去最低」だった昨年よりも悪化していることが明らかになりました。
調査は昨年5〜7月に1都5県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木)の18大学・短大に入学した学生の保護者を対象に実施し、約6200人から回答がありました。
自宅外通学者の「入学にかかる費用」は昨年に比べ0・5%の減額で299万円。世帯の年収の減少傾向も続き、かかった費用の年収に占める割合は過去最高だった昨年と同じ34%でした。
入学直後の出費が落ち着く6月以降の自宅外通学生への平均仕送り額は9万1600円で、調査開始以来の過去最低額を昨年に続いて更新しました。仕送りから家賃を引いた1日の生活費は1067円で、ピーク時の1990年の43・4%です。これには光熱費も含まれます。
入学費用は5人に1人が借金で調達し、借入額の平均は157万9千円でした。
奨学金を希望する家庭は67・9%、希望者のうち「申請した」家庭が64・2%で、いずれも増加しました。
入学できない被災新入生も
私大生の生活実態を調査した東京私大教連は、東日本大震災で被災したために入学の決まった大学に入学できないでいる新入生が多数生まれている可能性を指摘しました。
そうした新入生がいるというある大学では、4月いっぱいは猶予という措置をとっています。学費の減免制度や被災者のための給付の奨学金、学生寮もありますが、今のところ、手続きされていないといいます。4月の猶予期間を過ぎると入学取り消しになることもあるとしています。
東京私大教連では、震災と原発事故が今後の経済に及ぼす影響を考えると、学業を断念せざるを得ない学生が増えるなど状況はこれからますます深刻化するであろうとし、私立大学の経常的な基盤を強化することが必要だとしています。