2011年4月26日(火)「しんぶん赤旗」

JR西と遺族 共同検証

追悼と安全のつどい開く


写真

(写真)追悼と安全のつどいで黙とうする参加者ら=25日、兵庫県尼崎市

 JR福知山線事故の遺族らでつくる4・25ネットワークは25日、兵庫県尼崎市の総合文化センターで「追悼と安全のつどい」を開きました。

 今年のつどいは、同ネットとJR西日本が初めて共同開催。双方が事故の真相解明と安全の確立へ向けて議論してきた「課題検討会」の成果が発表されました。検討会は同ネットが提案し、JRが受け入れて16回開催。ATS(自動列車停止装置)整備や日勤教育などをテーマに、あえて責任追及を横に置いて事故を検証してきました。

 報告した同ネット世話人の淺野弥三一さんは、報告書には遺族が納得していない部分も多くあるとした上で、「私たちは家族が亡くなった理由を知りたいという一点で、一歩でも二歩でも進みたいと思ってきた。検討会を通じて、自ら検証して事故に向き合ってほしいという遺族の求めにJRが応えようとしてきたことは評価している」とのべました。

 検討会のオブザーバーで作家の柳田邦男さんは、遺族とJRが向き合って議論してきたことは、過去の事故や公害にはない画期的な意義があると指摘。「人間のエラーを事故に結びつけないシステムづくりや、(懲罰的な)日勤教育のようなことがなぜ起こったかについて、企業のあり方から解明しないといけない」と話しました。

 JR西による事故調査報告書の漏えい事件の検証チームメンバーの佐藤健宗弁護士は「個人の刑事責任を問うだけでは事故の真相を解明できない。組織の責任の問い方について国民的な議論が必要だ」とのべました。

 JR西幹部として初めて出席した西川直輝副社長は「私たちは加害者としての自覚に欠け、被害者のみなさんに向き合おうとしていなかった。安全を最優先する企業風土でなかった」と謝罪。検討会での提起を受け、余裕のないダイヤが運転士の心理に与える影響について研究を進めているとのべました。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp