2011年4月26日(火)「しんぶん赤旗」
原発依存から転換する時
期限定め、自然エネへ
参院決算委で井上議員
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「白紙というならば、危険な計画は中止すべきだ」。日本共産党の井上哲士議員は25日の参院決算委員会で、「安全神話」にもとづく原子力行政と、原発依存のエネルギー政策からの転換を迫りました。
放射性物質が大量に外部に漏れるような過酷事故の対策をとっていたのか。井上氏がこうただすと、原子力安全委員会の班目春樹委員長は、1992年の「アクシデントマネージメントについて」という文書で、「(対策を)事業者自身が整備し、確実に実行することを推奨している」と述べました。
井上氏は、これでは電力会社への「丸投げ」であり、国の責任を放棄するものだと批判。しかも、電力各社からの報告書には、今回の事故のように電源機能を長期間失う事態が想定されているものはありません。
井上 それもそのはずだ。安全委員会の指針(90年)で「長期間にわたる電源喪失は考慮する必要はない」としている。
班目安全委員長 その後平成4年(92年)に対策をしっかりやるよう(前出の)文書を出した。
井上 その文書自体も、過酷事故は「現実に起こるとは考えられない」としている。「安全神話」のもとで重大な事故に備えなかったことが、深刻な事態をつくり出したのではないか。
菅直人首相 想定外という言い方はあってはならない。あらゆることを想定して対応していかなければならない。
井上氏は、民主党政権が自公政権から「安全神話」を受け継いだだけではなく、それ以上に原発を推進してきたことを批判。14基以上の原発を新増設する「エネルギー基本計画」の撤回を求めました。菅首相は、「もう一度徹底した検証を行う中からどうすべきかを、白紙の立場で考える」と述べました。
井上氏は、白紙の立場に戻すなら、民主党政権が踏み込んだ他の問題も検証すべきだと提起。運転開始から40年と老朽化していた福島第1原発1号機の10年間の運転継続を政府が認可した直後に事故が起きたことにもふれ、日本には30年以上の原発が19基あり、敦賀1号機と美浜1号機は40年を超えているとして老朽原発の延命中止を要求しました。
また、14年間も停止していた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の運転再開をやめるよう求めました。
「今すぐ停止することは考えていない」という菅首相に対し、井上氏は、「ドイツのように期限を定めて原発依存から自然エネルギーに転換すべきだ」と強調。菅首相は「わが国の自然エネルギーの取り組みは技術的には高いが、量的には不十分だと思っていて、積極的に取り組みを強めるべきだと思っている」と述べました。