2011年4月26日(火)「しんぶん赤旗」

主張

「日米合意」強行

「支援」口実にやることか


 沖縄の米軍普天間基地撤去を求める県民世論に反し、名護市辺野古への「移設」強行に向け政府が再び動きだしています。

 松本剛明外相の連休前半の訪米は補正予算審議で先送りされる見込みとなったものの、昨年5月の「日米合意」を「着実に実施」する(松本外相)との姿勢に変わりありません。東日本大震災の救援に国の総力をあげるべきときに「移設」を前に進めるなどというのは、沖縄県民はもとより国民の気持ちを逆なでするものです。

狙いは「合意」の具体化

 松本外相は17日のクリントン米国務長官との会談で「日米合意を着実に実施するとの方針に変わりはない」とのべ、長官を安心させました。いったん連休前半の訪米が計画されたのも、そのための日米安全保障協議委員会(外交軍事の閣僚協議、2プラス2)開催を具体化するのが目的です。北沢俊美防衛相も連休明けに沖縄に入ります。「2プラス2」の早期開催は、6月下旬予定の日米首脳会談を前にして、「日米合意」を前に進めるのが狙いです。

 沖縄県民は「日米合意」の白紙撤回を要求しています。「2プラス2」開催強行は、普天間基地の閉鎖・撤去と辺野古への「移設」反対の沖縄県民の総意を無視するものです。

 「世界一危険」な普天間基地の閉鎖と撤去を求め、辺野古などへの「県内たらい回し」に反対する沖縄県民の総意にゆらぎはありません。かつては「移設」に理解を示していた仲井真弘多知事も、昨年11月の知事選で示された県民の意志を前に「県内移設はきわめて困難」といっています。「2プラス2」を開き、「移設」に備えて新基地の位置や形状を決めるなど許されるはずがありません。

 日米両政府が1996年に普天間基地の「移設」を決めてから今年で15年です。この間県民は新基地建設のための杭(くい)1本うたせていません。新基地は、2本の滑走路をもち、ヘリパッド(ヘリ離着陸帯)も大型艦船が使える軍港も兼ね備えた、世界各国への軍事介入態勢を強めるものです。墜落事故も多い垂直離着陸も可能なオスプレイも配備されます。新基地が周辺住民を苦しめるのは明白です。

 日本国土のわずか0・6%の狭い沖縄に在日米軍基地面積の75%が集中し、基地の痛みに苦しんでいる県民が、新たな基地の押し付けに反対するのは当然です。

 政府が「2プラス2」や日米首脳会談で「日米合意」を前に進めるとともに、日米軍事同盟を強化するための新たな「共通戦略目標」づくりをめざすのは言語道断です。まさに沖縄県民より日米の軍事同盟を優先する、対米追随姿勢のきわみというほかありません。

救援・復興に全力注げ

 いま東日本大震災と収束のめどが立たない原発事故という未曽有の国難に直面し、国の総力をあげた対策が必要なときです。菅首相の仕事は山積みです。

 米軍の被災者支援という当たり前の行動を口実にして、やっぱり「日米同盟」が大切だと沖縄県民に新基地を押し付け、憲法違反の日米軍事同盟を強化するなどもってのほかです。

 政府は沖縄新基地計画や憲法違反の日米軍事同盟強化を優先するのではなく、国民の救援・復興にこそ全力をあげるべきです。





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