2011年4月22日(金)「しんぶん赤旗」

がれきでじっと手を合わせ

「いつ終わるか、メド言えない」

20キロ圏内「警戒区域」

福島・南相馬市小高区


 福島第1原発から20キロ圏内が住民の立ち入りを禁止する「警戒区域」に設定される22日午前0時を前にした20日から21日にかけて、本紙記者は20キロ圏内にかかる南相馬市小高区に入りました。


写真

(写真)20キロ圏内に入る検問で列をなす車両=21日午後、福島県南相馬市原町区

 この時点で20キロ圏内には政府による「避難指示」が出されていましたが、立ち入りは「制限」にとどまっていました。このため、20キロ圏内の検問前には行方不明者の捜索に入る警察車両に加え、貴重品を持ち出そうとする一般車両が列をなしていました。

 南相馬市から福島第1原発までを結ぶ国道6号。道路はあちこちに亀裂が走り、両側の田園地帯は水浸しに。水が引いた区域には、1キロ先まで家屋のがれきが散乱していました。

 小高区中心部では警察による行方不明者の集中捜索が行われていました。白い防護服を着て、泥の中を必死にかき分けています。遺体の発見は進んでいますが、同区だけでなお数百人の安否不明者が残されています。

 住宅地の中を分け入ると、がれきの中でじっと手を合わせ、涙ぐむ男性の姿がありました。「仏壇を発見しました。本当に、ご先祖さまに申し訳ない」

写真

(写真)がれきで埋めつくされた田んぼ=20日、福島県南相馬市

 唯一の希望は、農林水産省による排水作業が16日から開始されたことです。ただ、作業にあたっている職員は「いつ終わるか、とてもメドを言える段階ではない」と言います。

 1時間あたりの放射線量は1マイクロベクレル未満。福島市内よりも低い水準ですが、津波で運ばれた土砂やがれきがそのまま放置されており、呼吸による放射性物質の吸引が懸念されます。 (竹下岳)





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp