2011年4月21日(木)「しんぶん赤旗」

原発の津波対策 策定部会

電力業界出身が12人

基準づくり “東電の一人芝居”の指摘も


 深刻な事態が続いている東京電力・福島第1原発の津波対策について東京電力の清水正孝社長は「津波対策についてはこれまでしかるべき基準に沿ってやってきた」といいます。この「しかるべき基準」とは、土木学会の指針です。果たしてこの基準は公平な立場で策定されたのか…。(清水渡)


 土木学会の指針は同学会原子力土木委員会の中に設けられた津波評価部会が2002年にまとめた「原子力発電所の津波評価技術」のことです。これにもとづけば福島第1原発では5・4〜5・7メートルの津波が想定されていました。東日本大震災では14メートルの津波が福島第1原発を襲ったとされます。

 13日の記者会見で清水社長は「(土木学会の)指針は、一つの尺度として尊重すべきものだ」と述べました。18日の参院予算委員会でも「14、15メートルの津波は想定できなかった」(日本共産党の大門実紀史参院議員への答弁)としています。

 この指針をつくった津波評価部会は首藤伸夫東北大学名誉教授を主査とする委員26人、幹事15人、オブザーバー1人(日本原子力技術協会)の計41人がメンバー(1人が委員と幹事を兼務)です。

 その内訳は、東京電力や電源開発など電力事業者の社員が12人を占めます。うち3人が東京電力の社員です。また、東京電力の100%子会社である東電設計の社員も4人入っています。電力業界の意向で、基準そのものが左右される可能性があるのです。

 土木学会の指針の「第三者性」に疑問が投げかけられています。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「マッチポンプというか、一人芝居の状況だ」と指摘します。

 清水社長は津波評価部会から社員を引き揚げることについては「言及は避けたい」(13日の会見)とノーコメントを貫いています。

表




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