2011年4月21日(木)「しんぶん赤旗」
地デジ、東北3県延期
最長1年 震災の影響で特例
総務省は20日、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島3県に限り、7月24日に予定されている地上デジタル放送への完全移行(アナログ停波)を延期すると発表しました。具体的な延期幅は今後詰めるとしていますが、同日の移行を定めている電波法に最長1年延長できる特例を設けます。
総務省が震災後に実施した調査によると、アンテナなど受信設備が損壊したのは3県で1万4400世帯。ケーブルテレビが視聴不能になったのは1万1300世帯。さらに、約8万世帯が津波による家屋流失で、テレビを視聴できなくなっています。
震災とは別に、地デジ未対応世帯や地デジの電波が届かない難視聴世帯が4万7000以上も残されています。しかし、地元自治体は復興に忙殺されており、同省では残り3カ月では地デジ準備が間に合わない世帯が続出すると判断しました。
平岡秀夫総務副大臣は20日の記者会見で「3県以外では予定通りの移行に全力を尽くす」と、全国的な延期は行わないことを強調。3県のテレビ局への財政的な支援をはじめ、3県以外の被災地での地デジ対策にも予算・人員を重点配分する考えを示しました。
一方、日本民間放送連盟の広瀬道貞会長は20日、「この時期に政府が被災3県のアナログ放送の延長を表明したことは極めて残念である」としたコメントを発表しました。その中で、延期でかかる放送事業者の負担は国で措置するよう求めています。
アナログ停波全国で延期を
塩川鉄也衆院議員の話 総務省の被災3県のアナログ放送停波の延期措置は、被害の大きさを考えれば当然であり、テレビ難民が生まれないよう国として努力を尽くすべきです。
一方で、国はそれ以外の地域のアナログ放送停波には固執しています。このまま7月24日に停波を強行してしまえば、低所得者、高齢者世帯、ビル陰難視地域、離島、中山間地域など、テレビ難民が生まれるのは明らかです。災害が起こるなかで、ユニバーサルサービスとしての放送が届かないということがあっていいのか、重大な問題になっています。
支援策の抜本的拡充とともに、さらに全国でのアナログ放送の停波の延期を考えるべきです。