2011年4月20日(水)「しんぶん赤旗」

障害者の権利後退

塩川議員 地域一括法案を批判

衆院委


写真

(写真)質問する塩川鉄也議員=19日、衆院総務委

 日本共産党の塩川鉄也議員は19日の衆院総務委員会で、「地域主権」改革一括法案の問題を取り上げ、「障害当事者の人権侵害の恐れが大きい」と批判しました。

 同法案は、福祉や教育など公共サービスの国の基準を関連41法律にわたって緩和し、地方まかせにするもの。塩川氏は身体障害者療護施設の設置基準として定められてきた居室定員4人以下など、長年の障害者運動によってつくられたものを地方まかせにすることは「障害者の権利を後退させ、国のナショナルミニマム(最低基準)保障を投げ捨てるものだ」と強調しました。

 厚労省の小林正夫政務官は「(国も)必要な助言や支援を行う」などと答弁。塩川氏が、法案は障害当事者の意見聴取もなく作られたことを指摘すると、小林政務官は「障害者団体からのヒアリングをしていない」と答えました。

 塩川氏は、政府が提出している第2次法案では、市町村が障害福祉計画を策定する際に住民の意見聴取を行う「義務」を「努力」規定に後退させていることを指摘。小林政務官は第2次法案でも「(関係団体の)ヒアリングは実施していない」と認めました。

 片山善博総務相が「義務規定がないからといって自治体が(住民の意見を)聞かないかといったら、そういうことはない」と強弁したのに対し、塩川氏は「住民の意見聴取規定は、国が地方に押し付ける規定ではない。主権者である国民の意見を施策に反映するために国と自治体に課せられた規定だ」と批判しました。

国の責任投げ捨て

 「地域主権」一括法案は「義務付け・枠付けの見直し」と称して、福祉や教育などの公共サービスを保障する国の責任を投げ捨て、地方まかせにするものです。

 関連41法律を一括改定するもので、公営住宅や児童福祉施設、老人福祉施設、障害者施設などの整備・運営基準を事実上、規制緩和します。関連188法律の改定を盛り込んだ第2次法案も今国会に提出しています。

 同法案では、保育所など児童福祉施設の整備や運営の最低基準も自治体の条例まかせとなり、東京都など待機児童が多い市町村では、保育所の居室面積基準も自治体に委ねられます。

 210万世帯が暮らす公営住宅についても、その整備基準と入居資格基準も自治体まかせで、住民追い出しや門前払いが進む危険を抱えています。

 参院の審議では、日本共産党の山下芳生議員が「最低基準が維持、向上される担保がない」とただしたのに対し、政府側は「変わるものとは思っていない」と答えるだけで、何ら保障がないことが浮き彫りになりました。

 採決で反対討論にたった山下議員は、「最低基準は、子どもたちが健やかに発達できる環境を国が保障し、その水準は時代とともに引き上げることが明記されている。国の財政保障の基準など、重要な役割を果たしており絶対になくしてはならない」と述べました。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp