2011年4月20日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 富士五湖の一つ、山梨県の西湖は、東北地方とよっぽどつながりが深いのでしょうか。昨年のクニマス発見の話題は、記憶に新しい▼遠く秋田県の田沢湖にしかすんでいなかったクニマス。戦中、国が湖をダム化し強い酸性の川水を引き込んだせいで、絶滅したとみられていました。ところが、卵が移されていた西湖で代々生き続けていたのです▼ことし3月11日。クニマスも、びっくりしたかもしれません。東北沖を震源とする地震が大津波を起こし、東日本の海辺を襲った日、西湖でも津波のような湖水の異変がみられた、というのですから▼水面が1メートルぐらいゆっくりとせり上がってきて打ち寄せ、またゆっくりと引いてゆく。2波、3波…。魚や湖底の泥が打ち上げられ、ボートが流される。震源から四百数十キロ離れた西湖あたりも、震度5弱の揺れを記録していました▼湖の地形がもともと持っている揺れの周期と地震の波の周期が合って共振し、地震のエネルギーが増して“津波”を誘発したらしい、とみられています。どこでどんな異常を引き起こすか分からない、大地震のエネルギー。東日本大震災で、東京湾岸では42平方キロが液状化しました。東京ドーム900個分の広さです▼地震の姿は、これからの調査でどこまで明かされるでしょう。もちろん、急がれるのは「人」「命」です。震災から40日近くたち、地震・津波で行方が不明の人は、いまも1万3千人を超えています。どれほど被災したのか、全体像もつかめていません。





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