2011年4月20日(水)「しんぶん赤旗」

学校耐震化

3割が未実施

共産党が各地で要求


 東日本大震災では避難所となっていた多くの公立小中学校や高校が損壊の被害を受けました。学校は、子どもたちが一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、災害時には地域住民の避難場所としての役割を果たすことから、耐震化は重要課題です。(中東久直)


 文部科学省の調査によれば、公立小中学校の校舎や体育館などの施設12万4238棟で、「耐震性がない建物」(耐震診断未実施の建物を含む)は3万3134棟(2010年4月1日現在)にのぼります。このうち、震度6強以上の大規模な地震によって倒壊などの危険性が高いと推計される施設は、公立小中学校については7498棟にのぼります。

 公立小中学校施設の耐震化率は、全国的には73・3%(対前年度6・3ポイント増)です。

 日本共産党は、草の根の運動と結んで、国会や地方議会で繰り返し学校の耐震化を要求してきました。実態調査をもとに、地方まかせではなく、国の国庫補助率引き上げを要求しました。

 08年6月には地震防災対策特別措置法が改正され、大規模な地震により倒壊などの危険性の高い施設(構造耐震指標・Is値0・3未満の建物)について国庫補助率が2分の1から3分の2に引き上げられました。公立小中学校などの建物について市町村に対し耐震診断の実施と耐震診断結果の公表が義務付けられました。

 文科省は10年度補正予算などの実施により、同年度末には耐震化率は83%に上がると見込みます。しかし、耐震化の必要な学校施設は約2万棟残ります。

 これに対し、11年度予算では、わずか約1800棟分(805億円〈沖縄を除く〉)の耐震化などに対応する額しかありません。


小学完了 中学は来年度

保育園も5年で

東京・狛江市

写真

(写真)耐震化などの工事期間中の保育場所として使用する仮園舎=東京都狛江市

 東京都狛江市の共産党員市長、矢野ゆたか市政は今年度予算で、中学校2校の体育館の耐震化と校舎の耐震設計をすすめます。これにより小学校の耐震化完了に続き、中学校も12年度に完了することになります。市民のエネルギーとともに、矢野市政の市政改革を支える日本共産党6人の市議団は、学校耐震化でも、補助金などの財源も示して急ぐよう求めてきました。

 市立保育園全6園では11年度から15年度にかけて、耐震化や、改築工事を順次おこないます。工事期間中の保育場所として全6園が順次使用する仮園舎が建設されています。今年度は改修工事1園、改築実施設計1園、耐震補強・増築基本設計1園がおこなわれます。


45%の遅れ正す

業者に仕事 “一石二鳥だ”

広島・尾道市

 広島県尾道市の小学校は31校、中学校は18校あり、小中学校の耐震化率は45・5%です。全国の中でも大きく遅れています。

 日本共産党は、「急傾斜地のがけ崩れ防止事業も、予算は1年間に1カ所分あるかないかです。高潮対策も『多額の予算が必要』という理由で放置されている地域が何カ所もあります。学校の耐震化やがけ崩れ防止、高潮対策などの工事は市内業者の仕事づくりにもなります。一石二鳥のこのような事業のために思い切った予算を」と求めています。


 学校の耐震化率 学校の校舎や体育館などの全棟数に占める「耐震性のある建物」の棟数の割合

表

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