2011年4月19日(火)「しんぶん赤旗」

警告無視した結果の“人災”

東電社長、目に余る居直り答弁


 「14〜15メートルの津波という今回の津波の大きさは、想定できなかった」。東電の清水正孝社長は18日の参院予算委員会で、日本共産党の大門実紀史議員の追及に対し、福島第1原発を襲った津波は“想定外”だったとして責任を認めない姿勢を示しました。

 清水氏は、1960年のチリ地震の津波の規模や「土木学会」の基準に従ってきたと述べました。チリ地震の津波は、日本でこそ6メートルにすぎませんでしたが、チリ沿岸部では18メートルに達しました。

 日本共産党の吉井英勝衆院議員は、2006年の衆院予算委員会で、このチリ津波や、38メートルの津波が襲った明治三陸地震(1896年)に触れながら、波の高さ10メートルを超える大津波への対策を提起。大地震や津波による全電源喪失にともなう炉心溶融を警告し、「どんな場合にもチェルノブイリ(原発事故)に近いことを想定して対策をきちんととらなければいけない」と要求しました。

 市民団体「原発問題住民運動全国連絡センター」や党福島県委員会も津波によって「冷却材喪失による過酷事故に至る危険がある」(同委の申し入れ文書)と繰り返し津波対策強化を求めてきました。

 今回の事故は、これらの警告に耳を傾けず、対策を怠った“人災”であることは明らかです。

 にもかかわらず、自らの責任回避に終始した清水氏の態度は、目に余る居直りといわなければなりません。

 「自己批判、謝罪がないと同じことを繰り返すことになる」。福島県をはじめ日本や世界に深刻な被害をもたらしている重大事故の責任者として、大門氏の指摘を重く受け止めるべきです。(林信誠)





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