2011年4月17日(日)「しんぶん赤旗」
原発を早期廃止
ドイツ 政府と各州が合意
ドイツのメルケル首相は15日、ベルリンで国内の16の州(特別市を含む)の州首相とエネルギー政策転換について会談し、国内にある17基の原発の早期廃止で合意しました。
メルケル政権は福島原発事故後、国内原発総点検の実施を決め、昨年、打ち出したばかりの原発稼働延期計画を凍結。現在、1970年代につくられた原発など8基の稼働を一時停止しています。
原発稼働延期計画では、シュレーダー前政権が決めた2021年までの原発撤退を見直して、平均で12年の稼働を延期し、最長の原発は2036年までとしていました。具体的な短縮期間は決まっていませんが、政府案では、原発からの完全撤退を2020年ごろとしています。
メルケル首相は、会談後の記者会見で「できるだけ早く原発を廃止し、(風力、太陽光・太陽熱などの)再生可能エネルギーに転換したい」と強調しました。各州首相には社会民主党など野党出身もいますが、会談では大枠で一致しました。
同首相は、原発からの早期撤退と、撤退に伴い生じる発電量不足などを補う「エネルギー転換」政策について、法案を準備し、6月3日に各州首相と同法案について再会談します。同月6日には閣議決定し、上下両院の審議にかける意向です。
このエネルギー転換政策法案は、(1)再生可能エネルギー、特に洋上風力発電の拡大・強化(2)エネルギーのロスの少ない高圧電力網の整備(3)住宅やオフィスビルなどの建物にエネルギー効率を高める設備をつける―などが中身となります。
この計画は、風力発電増設だけで50億ユーロ(約6000億円)もかかる膨大なもので、財源などが問題となります。
メルケル政権は、「国民的合意をめざす」として、環境団体、労組といった社会団体とも協議します。