2011年4月16日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 1889年生まれ、きょうが誕生日の俳優チャプリン。第2次大戦後の名作「ライムライト」では、落ちぶれた老道化師カルヴェロを演じました▼「ライムライト」の中で、人生をはかなんで自殺を図った踊り子テリーがいいます。「世の中のことがなにもかも無駄のように思われてきたの。花をみても音楽をきいても」。カルヴェロが励まします。「意味を求めたってはじまらないよ。人生は欲望だ」▼なんでも欲しがる欲望ではありません。バラはバラらしく花を咲かせたがる、そんな「欲望」です。では、人間が人間らしく生きようとするとは? カルヴェロは続けます。「そうだ、人生はすばらしい。…なによりも大切なのは、勇気だ。想像力だ」―▼カルヴェロのせりふを目の前の現実に引き寄せると、人はたたかわなければならないのでしょう。人間らしく生きよう、人間らしい世の中をつくろうとする勇気をくじき、想像力をおしつぶす者に対して▼阪神・淡路大震災後の日本を思い起こします。被災者同士が、また国民と被災者が助け合って耐え抜いた震災。人々の中で、連帯の精神を重んじ、老いも若きも弱者も人として尊ばれる社会をつくる機運と運動が育ちます。が、政府や財界の考えは違いました▼消費税の増税。格差・貧困、「無縁社会」をひどくした「構造改革」。いま、彼らとたたかった人もそうでない人も、想像力を働かせています。人が人間らしく生きられる世につくり変える、東日本大震災からの復興に、と。





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