2011年4月15日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
数年前の教科書検定で、こんなことがありました。高校の「政治・経済」の教科書です▼もともとの記述は「政府は…プルサーマル計画を基本方針としているが…環境への課題も多い。原子力に頼りながら、高水準のエネルギー消費を続けるべきなのか…国民的な議論が必要であろう」でした▼検定意見がつきました。「原子力発電について、利点に比べ、その危険性や問題点を特別に強調しすぎている」。その結果、教科書に次の一文が付け加えられました。「(原発は)安定供給が可能であり、二酸化炭素や窒素酸化物・硫黄酸化物を排出しないなどの利点もある」▼「安全神話」にたった教育を押し付ける政府・文部科学省。13日の国会では、日本共産党の宮本岳志衆院議員が文科省と資源エネルギー庁が共同で発行した副読本のことを追及しました。「もし地震が起きたとしても…まわりに放射性物質がもれないよう、がんじょうに作り、守られています」。こんなことが書いてある副読本です。この副読本は宮本議員の追及後、ホームページから消えました▼検定や副読本の背景には原発推進勢力の動きがあります。日本原子力学会は、教科書の原発の記述について調べ、「短所の説明には力を入れているが、長所は極めて簡単な説明にとどめている」から不適切だと、「改善」を求める「要望書」や「提言」を出してきました▼政府や業界の思惑で、ゆがめられた教育。国民に正確な情報、知識を伝えることこそ、国がするべきことです。