2011年4月14日(木)「しんぶん赤旗」
「民話の里」 岩手県遠野市
被災地支援の後方基地に
ボランティア確立 「ニーズに応える」
「民話の里」として知られる岩手県遠野市は震災直後から、甚大な津波被害を受けた周辺の沿岸自治体へ向け、後方支援の中継基地として大きな役割を果たしています。(釘丸晶)
発生直後から
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同市は、津波被害を受けた大槌町、釜石市、大船渡市など沿岸自治体から陸路で約1時間、ヘリコプターで約15分で移動できる立地環境にあり、07年度から「地震・津波災害における後方支援拠点施設整備構想」を進めてきました。地震発生直後から自衛隊、警察や消防などが同市を拠点に被災地支援に当たっています。
市内の稲荷下屋内運動場を物資センターにして支援物資を集積し、各被災地へ配送しています。
同センターを管理する市職員の菊池武夫さんは、「求められるものは日々変わっていきます。初めは食料や燃料でしたが、入浴支援が入るとひげそり、電気が通るようになれば洗濯機などの電化製品。被災地のニーズに応えた支援が必要です」と話します。
ボランティア体制も確立されました。市社会福祉協議会と市内外の団体で「遠野被災地支援ボランティアネットワーク(遠野まごころネット)」が立ち上げられ、全国からのべ1000人以上が集まっています。
一歩一歩前進
神戸市からボランティアで訪れている男性(62)は、4日に神戸を出発。福島県の原発事故で山形県米沢市の避難してきた人たちへの足湯サービスや救援物資の配送などをした後、8日の夕方に遠野市に到着しました。同市を拠点にして、被災地域の小学校や家屋の清掃、支援物資の配送などのボランティアをしています。男性は「一歩一歩、今日より明日が前進すると思いますので、一緒に頑張りましょう」と話しました。
同市の人的被害は重軽傷4人とわずかでしたが、市役所本庁舎中央館が地震で全壊するなど約26億3000万円(11日時点)の被害が出ています。市では、地震発生後すぐに災害対策本部を設置し、被災地の後方支援に取り組みました。
県は、遠野市を沿岸被災地への後方支援基地とし、職員2人を派遣して支援体制を確立。越野修三特命参事は、「遠野市の後方支援基地としての役割は増してくる。県としても市とより一層、連携を密にして支援態勢を強化していく」としています。
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