2011年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
地元産材で仮設住宅
「安心して入居して」 気仙大工の心意気
被災者避難の岩手・住田町
東日本大震災で津波により大きな被害を受けた沿岸の岩手県陸前高田市や大船渡市などから、親戚、知人を頼って約600人が隣接する内陸部の住田町に避難しています。同町は気仙杉の産地として知られ、避難してきた被災者に木の温もりのある家に住んでもらおうと、町産材を使った仮設住宅の建設が進められています。(釘丸 晶)
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町有地3カ所に93戸が建設中で、県の条例で決められた戸建ての2DKタイプ。同町建設課の佐々木邦夫課長は、「仮設住宅で、木造というのは日本で初めてではないか。小さな町の大きな取り組み。木の安らぎ、温かみを」と話します。
気仙杉は年輪幅が広く軽くて柔らかいため、加工性が良く木目が通っており特有の芳香があります。
合板使わず
同町と陸前高田市、大船渡市の気仙地方は、民家、寺院造営から建具や細工を行う気仙大工が昔から有名でした。今回の仮設住宅建設にも軸組み工法が用いられ、合板(ベニヤ)は一切使わず、本物の木材だけでつくられています。
組み立ても3日で2戸が建築可能です。木材を使用しているため吸水性に優れ、外気温による変化が少なく夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。安全性についても建築基準法の約1・5倍の強度となり、建設費はガス、電気、水道などのライフラインの整備も含めて1戸250万円ほどでできます。
現段階では、住田町が単独で費用をまかなっていますが、町の財政負担が重すぎるため、県と話しあっています。
組合と町で
建設作業を行うのは第三セクターの住田住宅産業です。森林組合、製材業協同組合、建築業協同組合、農業協同組合と町が一緒になり、“住まいづくりの里”をめざしてつくった会社です。
同社の男性(58)は、「被災者の方々は大変でしょうから、早く入ってもらいたいです。一戸建てなら、プライバシーの問題も緩和すると思います。安心して入ってもらうために心を込めてつくっているので、住田の木材と気仙大工の心意気を感じてもらいたい」と話しました。
日本共産党の佐々木春一町議は、「震災の翌日から陸前高田市に行って、現地の党員と一緒に支援活動をしています。同じ経済圏にある住田町としても被災者と同じ思いで後方支援に取り組んでいます。仮設住宅に被災者を温かく迎えて、一日も早い立ち直りを願っています」と語りました。
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