2011年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
原発事故は二重の人災
吉井議員らパネリスト シンポに300人余参加
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東日本大震災から1カ月、東京電力福島原発事故による放射能漏れが深刻ななか、「原発・核兵器 私たちの未来」と題した特別シンポジウムが11日、東京都内で開かれ、環境問題を考える若者のグループなど、300人余が会場を埋めつくしました。主催は、原水爆禁止日本協議会。
福島県南相馬市で大地震にあい避難生活をする福島農民連の三浦広志さんが特別発言し、日本共産党の吉井英勝衆院議員と日本大学専任講師の野口邦和氏がパネリストをつとめました。
「政府・東京電力の対応の問題点と今後の課題」をテーマに報告した吉井議員は、これまでの国会追及に触れながら、福島原発事故は、二重の人災だったと強調しました。一つ目は、大地震や津波で燃料棒を冷却するための電源がなくなり、炉心溶融することを警告していたにもかかわらず、対策をとらなかったことです。
二つ目は、大震災が起きた3月11日夜から12日にかけて、電源が失われたことが分かった段階での無策ぶりです。「燃料棒を冷却するために海水でもいいからかけるべきだったのに、東電はもうけ第一に廃炉をおそれて対応を遅らせました。政府は国民の安全第一にただちに注水を命じるべきだった」と指摘しました。
野口氏は、「放射線が私たちにもたらす影響」について報告。そのなかで、政府が決めた避難範囲(半径20キロ圏内)について、▽風向きを無視した同心円で現実とかけ離れている▽避難と屋内退避指示を出した根拠をいまもって明らかにしていない―ことをあげました。
海域の放射能汚染では、ヨウ素、セシウム以外にバリウム140も検出された採取試料の発表が、3月30日を最後になくなったと指摘。ウランやプルトニウムもふくめて採取した海水から検出されたすべての放射性物質について公表を求めました。
さらに、東電と政府が、「低レベル汚染水」と説明するものの、放射性物質の種類も濃度もいっさい公表していないと批判。果たして本当に低レベルなのか、検証するうえでも種類と濃度を東電は公表すべきだとしました。
三浦氏は、田んぼが津波で水没し、11キロメートルの距離にある原発で放射能漏れがおきているなか、「故郷に戻れるのは10年になるのか、もどれないかもしれないのか」と心境を語りました。
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