2011年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
震災財源 足りないというのに
官房機密費支出へ
不明朗な使途などが問題になってきた「官房機密費」(内閣官房報償費)について枝野幸男官房長官が、2011年度も従来どおり支出し続ける方針を決めました。東日本大震災の被災者救援や復興対策などに回す財源の不足が懸念されるなか、機密費に対する菅政権の姿勢が改めて問われています。
枝野長官が1日付で決定したのは、「内閣官房報償費の執行に当たっての基本的な方針」。「未曽有の災害となった東日本大震災への対応等も踏まえながら」などと大震災を大義名分に掲げていますが、大震災対応に機密費などまったく必要ないはずです。
官房機密費は、自民党政権時代から“国家機密”とは名ばかりで、一部野党やマスメディアへの工作、各種選挙などに使われてきたことが内部文書や関係者の証言などで明らかとなっています。民主党政権下でも使途は公開されず、事実上なんら制約を受けていないのが実態です。
また、今回の「方針」は、「引き続きその使途等を検証する」としながら、検証や透明化の期限を明示しない無責任なものとなっています。
鳩山政権下で平野博文官房長官は昨年4月1日決定の同「方針」で、「平成22年度(2010年度)1年間を通じて責任を持って報償費を執行する中で、その使途等を検証」し、「透明性の確保を図る方策について、検討する」と明記。菅政権発足直後の仙谷由人官房長官も昨年6月17日決定の「方針」で、「平成22年度において責任を持って報償費を執行する中で、その使途等を検証する」として、期限を切った検証を約束していました。
枝野長官の「方針」は、「税金の使い途(みち)をすべて明らかにして、国民のチェックを受ける」としていた民主党の2009年総選挙マニフェスト(政権公約)にも真っ向から反するものです。 (林信誠)