2011年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
教科書に落書きしていた。ギターと君の顔の絵だった…。斉藤和義さんの歌「ずっと好きだった」です▼16歳の、甘酸っぱい思い出を語る歌。それが、あっと驚く大変身をとげました。いま、斉藤さん自身がインターネットの動画上でうたう替え歌、「ずっとウソだった」が反響をよび起こしています▼ギター一丁でうたいます。「この国を歩けば、原発が54基」。そうか、落書きした教科書に原発の説明が載っていたのかもしれません。「教科書もCMもいってたよ 『安全です』」と、続きます▼仰げば照れくさい青春の思い出がよみがえる「あの空」から、放射能の雨が降ってくる。「想定外」といいわけするけれど、安全とは「ずっとウソだったんだぜ」…。動画欄のユーチューブから削られましたが、次々と転写され、聴き手をふやしています▼原発を告発する人気歌手の先駆けは、故・忌野清志郎さんでしょうか。「サマータイム・ブルース」で、“東海地震がくるのに原発はまだまだふえていく”とうたい、発売中止となりました。「ずっとウソだった」を聴いて、“圧迫されても負けないで”“これであなたがつぶされるなら、私が守る”と、斉藤さんを励ます人が絶えません▼「何人が被ばくすれば気がついてくれるの? この国の政府」と問う、「ずっとウソだった」。わが国政府が、ようやく認めるところまできました。福島第1原発の事故は、世界の評価づけで「レベル7」にあたる、チェルノブイリ級の深刻な事故だ、と。