2011年4月12日(火)「しんぶん赤旗」
ムバラク前大統領を取り調べ
収賄容疑など エジプト検察が決定
【カイロ=伴安弘】エジプトの検察当局は10日、ムバラク前大統領と息子2人を反政府デモ参加者への暴力と収賄などの容疑で取り調べることを決定しました。
エジプト国営通信によると、マハムード検事は、2月11日のムバラク氏辞任に至る反政府デモのなかで「死傷者を出した抗議運動者に対する襲撃罪に関連した」容疑と、収賄の容疑で取り調べるよう命じました。治安当局によるデモ参加者への弾圧では800人が死亡したとみられています。
一方、ムバラク氏は同日、中東の衛星テレビ局アルアラビアを通じ、2月11日以来初めて公に発言し、自身と家族に対する不正・汚職の嫌疑を否定しました。その中で、同氏は、エジプトの検事に送った情報は彼の金融資産や不動産が海外に存在しないことを示していると主張。「私と家族の名誉を守る」と述べ、この間、高まっていた国民の非難の声に挑戦しました。
ムバラク氏訴追は反政府デモの要求の柱になっています。8日には数十万のデモ隊がカイロのタハリール広場で彼を裁判にかけるよう求め、ムバラク氏を擁護しているとして政権を握る軍部への批判も強まりました。9日早朝には軍とデモ隊の衝突で死傷者が出る事態となりました。
軍部がムバラク氏の調査委員会の設置を決めながら、その行動が鈍いことに批判が出ていました。
検察は前政権高官への追及の手も強めています。ナジフ元首相が収賄容疑で15日間拘束されたほか、ザカリヤ・アズミ大統領府官房長が、不正蓄財の容疑で逮捕されています。
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