2011年4月11日(月)「しんぶん赤旗」
主張
東日本大震災1カ月
生活と地域の再建最優先して
多くの行方不明者を残したまま、延々とがれきが広がる市街地、津波の爪痕も生々しく、水没したままの農地や海岸―とても1カ月たったとは思えない、甚大な被害が残る東日本大震災の被災地です。絶え間ない余震と、原発事故の被害が追い打ちをかけます。
避難生活はいよいよ限界です。被災者への支援とともに、生活と地域の再建を大急ぎで進める必要があります。
「複合型」の大災害
3月11日午後2時46分、マグニチュード9・0の大地震と、直後の大津波が被災地を襲った東日本大震災は、かつてなく規模が大きいだけでなく、地震と津波、さらに原発事故が重なった、「複合型」の大災害です。被災地への救援や復興も、それに見合った対策が必要となっています。
普通の地震や風水害なら、全壊の家屋もあれば、半壊や一部損壊の家もあるのが普通です。ところが大津波は、見渡す限り家という家をなぎ倒してしまいました。亡くなった人や行方不明者がばく大で、その半面、負傷者が比較的少ないのもそのためです。町や役場もなくなり、被害の全容はいまも確定しません。
普通の災害ならいったん避難しても停電や断水が回復すれば家に帰れる被災者も、帰るべき所がありません。避難所への避難者はいまなお十数万人にのぼり、長期化する避難所での生活改善が差し迫った課題となっています。地震や津波で助かりながら避難生活で亡くなるのは人災です。
膨大ながれきの処理も難航しています。がれきの中を毎日歩き回り、家族の安否を尋ねる被災者の身になれば、重機で一気にというわけにはいきません。がれきが片付かなければ仮設住宅を建てる場所も確保できない。仮設が確保できなければ、避難所になっている学校などの機能も回復できない。まさに問題は山積しています。
追い打ちをかけているのは、東京電力福島原発の事故です。地震や津波への備えを欠き、適切な対応もしないで重大事態を引き起こした福島原発の事故は、まさに人災のきわみです。東電と政府の責任は重大です。原発からは放射性物質が飛び散り、周辺住民は行方不明者の捜索もできないまま、避難を余儀なくされています。農産物や海も汚染されています。機敏な情報や支援の提供とともに、被害の補償が不可欠です。
震災と原発事故は、農業、漁業、水産業など、地域の産業と経済をズタズタにしてしまいました。春の種まきや漁再開の見通しも立ちません。地場産業が破壊され、雇用問題も深刻化しています。被災者の生活を再建するためにも、農地の回復、港の復興など、地域の立て直しが求められます。
国が先頭に立ってこそ
この1カ月間、被災地に物資が届かず、全国からの義援金も配分が滞り、原発事故もいっこうに収束の見通しが立たない状況に、全国がいらだちを募らせてきました。被災者支援に、いまこそ政府が先頭に立つべきです。
大切なのは被災者の生活と地域の再建です。被災者への個人補償を大幅に引き上げるとともに、住み慣れた地域で生活できるよう支援すべきです。「復興」の名で被災者に新たな犠牲と負担を押し付けるなどは、絶対に許されません。