2011年4月9日(土)「しんぶん赤旗」
J1ベガルタ仙台
“復興の先頭に立つ”
被災地への思い胸に関東キャンプ
東日本大震災でクラブハウスが半壊し、本拠地スタジアム(仙台市)も被害を受けたプロサッカー・J1のベガルタ仙台。練習が困難な中、4日から関東でキャンプを開始しました。リーグ戦再開となる23日のアウェー川崎戦に向け、選手らはそれぞれの思いを胸に練習に臨んでいます。(呉 紗穂)
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8日、千葉県市原市の臨海競技場には、元気にボールを追う選手たちの姿がありました。ミニゲームではお互いに声をかけながら、連係プレーの確認などで汗を流しました。ファン20人ほども応援にかけつけました。
3月11日の大地震で、仙台市内のクラブハウスなどは損壊。震災後、選手やスタッフは「まず、できることからやろう」と、被災地でのボランティア活動を積極的に行ってきました。県内の避難所を訪問して子どもたちとミニゲーム、支援物資の運搬や土砂の運び出しも手伝いました。
ガスや電気のライフラインの復旧が遅れ、生活すら困難な状況に直面している被災者の姿を目の当たりにした選手たち。自分たちだけ、サッカーをしていていいのか―。選手からは、ボランティアをしながら、なんとか仙台で練習をしたいとの声も多くあがりました。
しかし、ガソリン不足をはじめ、周りの状況は練習でコンディションを上げていく環境ではありませんでした。
いま選手は、地元へのさまざまな思いを抱きながら、前を向いています。「ピッチに立った以上は、百パーセント以上のものを出さないと」。DF渡辺広大選手はそう自らを奮い立たせます。
7日夜に宮城県で起きた震度6強の余震について、「これまで大変だった人がもっと大変になっているかも」と被災地に心を寄せるMF田村直也選手。「日程が決まったので、そこに向けて頑張っていかないと」と静かに語りました。
手倉森誠(てぐらもり・まこと)監督はきっぱりと語ります。「スポーツの力は大きい。われわれ元気な人が、元気を与えて、復興の先頭に立たなければ」
この日、競技場を吹き抜けた強風は、選手の背中をがんばれ、がんばれと後押ししているようでした。