2011年4月9日(土)「しんぶん赤旗」
震度6強余震
“突然大きくきた”
宮城各地で不安の色濃く
「ドンと落ちるように縦揺れが来て、一気に横に大きく揺れた」(福祉施設職員)―。7日深夜、東日本大震災の被災地を震度6強の余震(マグニチュード7・1)が激しく揺さぶりました。いつ果てるとも知れない余震。被災住民は不安と疲労の色を濃くしていました。(東日本大震災取材団)
仙台・若林区
7日夜11時半の余震の直後から、仙台市若林区の市立若林小学校には近隣の住民が自主避難をしてきました。
1人暮らしの女性(65)は「本震でおじを失いました。アパートは、いたるところでゆがみ、1人で寝るのが怖い。今日は帰りたくありません」と不安そうに話します。
女性(49)は息子(19)と体育館にきました。女性は「持病を持つ息子が11日の地震からパニックを起こすようになって家にいない方がいいと思いました」。息子は「地震はもう終わってほしいなと思っていたので、余震にびっくりしました」と話します。
仙台・宮城野区
仙台市宮城野区にある高齢者福祉施設「宮城野の里」。職員は「3月11日の地震と違い突然大きく来た」といいます。
施設の事務所内は最初の地震直後のような惨状に。書類や救援物資などが散乱しました。幸いにも「福祉避難所」として泊まっていた16人を含めてけが人はありませんでした。
当直の職員(31)は「津波警報が出て、解除されるまでみんなで2階に避難しました。他県から泊まり込みで支援にきている7人に利用者の誘導や後片付けで協力してもらい助かりました」と話しました。
名取市
「警戒していたつもりなんだけど、まさかまたこんな強い地震があるなんて」。8日、宮城県名取市増田の住宅地に住む50歳代の女性はこう、落胆の表情を浮かべて語りました。
女性宅では、屋根瓦が落ち、自家用車のフロントガラスを直撃、新車が台無しに。女性は「今日は午後から天気が崩れるというので、雨漏りしないよう応急的に屋根を直しておかないといけない」といいます。
隣接するガラス・アルミサッシの工場には、1時間半で10件以上の修理の依頼が寄せられるなど、近隣の住宅にも被害が相次いでいるといいます。
商店街の骨董(こっとう)美術商店の店主(57)は、砕けて散らばった陶器の破片を片付けながら、「先月の地震に比べればたいしたことないんでしょうが、1カ月近くかかってやっと片付いたと思ったらこれです」と、肩を落としました。