2011年4月7日(木)「しんぶん赤旗」
主張
震災と子どもたち
最大限の安心と希望届けたい
東日本大震災で、多くの子どもの命が奪われました。命が助かった子どもたちも怖い思いをし、家を流され、親族や友人を失うなど途方もない困難の中におかれています。子どもは復興の希望です。被災した子どもたちに社会ができうる限りの安心と希望を届けたい。切にそう願います。
震災の規模は桁外れです。従来の枠にとらわれず英知を集め、思い切った予算をとり、制度をつくり、現場の裁量もひろげて、手を尽くすことを求めます。
手厚い支援の体制を
たとえば、「震災孤児」です。数百人単位にのぼるといわれます。親を亡くしたうえに、故郷や親戚、友人や先生から切り離されることは避けたいことです。受け皿のひとつに「親族里親」がありますが、里親手当はゼロです。特別の手当を決断すべきです。子どもの権利条約は、孤児の環境として里親を優先しています。その精神をふまえた対応を求めます。
「しんぶん赤旗」日曜版の取材のなかで「両親と努力して合格した私立中学に入学したい」と、別の市にある親戚の家に移るのをいやがる、両親を亡くした女の子がいました。子どもにとって何が一番いいかを、一人ひとり検討しケアする専門家の体制が必要です。
片親が亡くなったり、親が生活基盤を失ったりする家庭は膨大な数にのぼります。この震災のもとで家庭機能の復活は容易なことではありません。生活の再建を個人責任にせず、相談と支援の手厚い体制が求められます。
子どもたちは学校の再開を心待ちにしています。クラスの友だちや先生と一緒にいること、言葉をかわすことは、心のケアにもなります。しかし校舎などの被害は甚大です。再建は国の特別な予算でまかなうべきです。
同時に、当面の校舎の確保や教材の確保、送迎用のガソリンを含む通学の手配など、万全の支援が急がれます。
先生たちは自ら被災しながら、学校再開にむけ避難所を訪ね、子どもと連絡をとり、ケアを続けています。その努力に頭が下がります。その子をみてきた先生にしかできないことがあります。避難所運営などの負担を軽減し、先生が子どものことに専念できるようにすることは急務です。被災した子どもと先生との関係を考えれば、人事異動は凍結が基本です。そうしなかった宮城県では混乱がおき、改善が求められています。
多くの教職員が犠牲となった学校、教育委員会の多くの職員を失った自治体、原発事故による町ぐるみの避難…。こうした状況を乗り越えるには相当数の職員の応援が必要です。
進学・就学への支援も
文部科学省は全国の教職員の短期的出張をよびかけていますが、それで足りるでしょうか。国は専門職員がどれくらい必要なのかをつかみ、不足の場合、定数増にくわえて退職者を臨時職員にして派遣するなど、思い切った対応を検討すべきです。
進学・就学への支援も待ったなしです。文科省の通知は、返済必要の国の奨学金制度や就学援助などの現行制度にとどまっています。これでは間尺にあいません。緊急の給付制奨学金など、大学だけでなく専門学校をふくめた支援を強く求めます。