2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」
一部再開「なかよし保育園」 宮城石巻
保育園 問題山積み
施設補修・保護者の失職…「行政の支援を」
東日本大震災の津波で床上浸水した宮城県石巻市の認可保育園「なかよし保育園」は、1日から子どもの預かりを一部再開しています。(日恵野香)
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「子どもの楽しそうな声が聞こえて、これが保育園だと思いました」と再開を喜ぶのは園長の大橋巳津子さん(58)です。
電気とガスは復旧しておらず、昼食とおやつは保護者持参です。
「母乳用の冷凍庫や2月に買ったばかりの3台で80万円のヒーターも壊れてしまった。床も本格的な改修が必要です。施設の補修にかかる費用も、行政でなんとかしてもらえたら」。主任保育士(58)は言います。
3月26日に水道が復旧したことをうけて、保育再開へ向け職員全員で掃除や物品の運び出しや移動に大奮闘。31日には卒園式を行い、12人の旅立ちを見送りました。
一方で、「失職などで以前と同じ額の保育料を払うのが難しいと保育の継続を悩むお父さんから相談を受けました」と主任保育士。「子どもを預けて安心して生活のたて直しができるよう、行政は被災者の保育料を減免してほしい」と訴えます。
転園予定先が倒壊し、なかよし保育園に戻りたいとの連絡が5、6件ありました。園の電話がつながらないので、新規の入園希望数も分かりません。他地域の全壊した保育園からの子どもの受け入れも予想されます。
児童福祉法によって、保育施設の最低基準を維持するために国、自治体が支給する運営費があります。月初めの園児数によって支給額が割り当てられます。このため、通常は4月1日に保育園が開いていなければ4月分の運営費は支給されません。
しかし、被災地の保育所については、4月1日に開園していなくても月内中の再開をめざしている場合は運営費が交付されることになりました。
現在、地震や津波などの被害によって、認可、認可外を含めた市内の保育園全40カ所中、30以上が業務を再開できていません。
大橋園長はこう話します。「再開をめざして頑張っているすべての園には、5月以降再開する園も含めて、運営費を出してほしい」