2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」
原発に世界が重大な懸念
IAEA事務局長 基準順守・情報開示を
原子力安全条約再検討会議開幕
【ロンドン=小玉純一】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は4日、福島第1原発の事故を契機にわき起こった「原発は安全かという世界中の人々の懸念を重大に受け止めなくてはならない」と語り、原子力に対する信頼の回復と維持のためには「もっとも厳格な国際基準の順守と完全な情報開示がきわめて重要だ」との認識を示しました。
「新建設援助」も
ウィーンにあるIAEA本部で同日開幕した原子力安全条約第5回再検討会議の冒頭演説で述べました。会議は14日まで。
天野氏は、福島第1原発の状況は「いまだ深刻」であり、危機を乗り越え、原子炉を安定させることが「当面の優先課題」としつつ、6月に予定されるIAEAハイレベル会合に向けて、「熟考し評価を下すプロセスを開始しなければならない」と述べました。
一方で天野氏は、福島の事故によっても原子力が求められる状況は変わっていないとし、新規原発国がより安全な施設を建設するのを援助できるよう、「努力を倍加させなくてはならない」と述べました。そのためには、「日常業務に取り組むような姿勢はもはや通用しない」とし、将来の事故が劇的に低下するよう、「原発の安全性を強化するためにより多くのことをしなければならないのは明白だ」と強調しました。
原子力安全条約 1986年に起きた旧ソ連・チェルノブイリ原発事故を契機に94年に採択。能力と人的・財政的に十分な資源を持った独立した規制・管理機関の設置を各国に義務付けるなど、高水準での原子力の安全性の達成が目的です。3年ごとに開かれる再検討会議では、各締約国が提出する条約上の義務の履行状況についての報告を相互に検討します。96年に発効、現在71カ国1機構が締約。