2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 古代ギリシャの神話は、奇想とエネルギーに満ちています。もっとも古い男の神ウラノスの話も、刺激が強い▼大地の女神ガイアから生まれたウラノス。名は天を意味し、初めて天地を支配した神です。ガイアに次々と子どもを産ませます。100の手を持つ巨人族、稲妻・雷をつかさどる一つ目族、あるいは巨神たち▼ところが、ウラノスは子どもを片っ端から地下の冥界に閉じ込め、権力を独り占めにします。ガイアは子どもに復讐(ふくしゅう)をよびかけ、応じた巨神クロノスが父ウラノスの生殖器を切り落とし、海に捨てる…。物語に、古代人がおののいた謎めく自然の荒々しい力が乗り移っているかのようです▼ウラノスの名は、神話から抜け出し、いまも現役です。天王星はウラノス。元素ウラン。ドイツの科学者クラップロートは1789年、新元素をみつけ、天王星の名をとってウラニウムと名づけました▼ウランを燃料に使う原発は、連鎖して起こる核分裂反応を制御し、持続させています。高い技術がいりますが、火力発電と同じように熱を利用しタービンを回して発電するしくみです。しかも、水という原始の物質がなければ原発は運転できません▼水で冷やせなくなった、福島第1原発。放射能を、海に大気にまき散らします。まるで、封じ込まれていたウラノスが暴れだしたように。人間と地球に対する罪。手をこまぬいているわけにはいきません。最善の道はなにか。人の知恵と能力と情報の総結集を、忘れてはならないときです。





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