2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」

主張

福島原発事故

安全確保と抜本見直しを急げ


 東日本大震災にともない、地震と津波への備えに欠けた東京電力福島第1原発が引き起こした重大事故は、失われた冷却機能が回復できず、外部への放射性物質の流出が拡大する深刻な状態を続けています。周辺住民の避難生活の長期化や農産物などの汚染、「計画停電」などの被害も広がっています。

 総力をあげて事態の悪化を食い止めるとともに、「原発はこのまま続けていいのか」「これからのエネルギー政策はどうなるのか」という、国民の不安にこたえることがいよいよ重要になっています。

「安全神話」による人災

 東電は、原子炉や使用済み核燃料を冷却するために注水を続ける一方、外部に漏れ続ける高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理のため、低濃度の汚染水を海中に放出するという危険な作業を始めています。低濃度であれ放射性物質が海水などを汚染するのは確実で、周辺だけでなく、広範囲で不安が広がっています。

 政府の中からさえ、放射性物質の流出を止めるだけでも数カ月かかるという見方がでています。原子炉を安定させ、「廃炉」を実現するにはさらに数十年かかります。重大な事故を引き起こした東電と、原発建設を推進した自民党政権以来の政府の責任は重大です。

 東電福島原発の重大事故は、地震や津波の被害が想定を超えたからという自然災害ではありません。原発で事故は起きないという「安全神話」にとりつかれ、地震や津波の備えを怠ってきたことによる人災です。日本共産党は早くから、重大事態が生じることを警告してきました。安全対策をなおざりにし、原発建設を推進してきた責任は重大です。

 日本には北海道から九州まで54基もの原発が稼働中です(うち東電が17基)。14基が建設中か計画中です(うち東電が4基)。原発への不安は全国共通です。いまある原発の、地震や津波の対策は十分か総点検するとともに、民主党政権になってこれまでの政権以上の規模で進めると決めた新増設の計画は直ちに中止すべきです。予想される東海地震の震源域の真上にある静岡県の浜岡原発などは、即刻運転を中止すべきです。

 原発事故が深刻化するなかで、日本共産党の志位和夫委員長が菅直人首相に、原発の危機打開と原発政策の見直しを申し入れ、菅首相も原発の総点検や、新増設については「見直しも含めて検討したい」と約束しました。原発の規制機関を推進機関から独立させるべきだとの志位委員長の提案にも、首相はその必要を認めました。原発の総点検や原発政策の見直しを言葉通り実行させるべきです。

各党の態度が問われる

 いまや原発見直しの声は世界で巻き起こっています。原発への依存をやめても、ドイツのように太陽光などを利用した自然エネルギー中心に切り替えれば、供給に問題はありません。原発政策を抜本転換し、自然エネルギーへの計画的転換をすすめるべきです。

 この問題は、いっせい地方選挙でも重大な争点です。原発建設を推進してきた自民や公明、民主の態度が問われています。地域政党も含めて、原発問題に「だんまり」では責任を果たせません。

 国民の不安解消のうえで、原発問題解決の道をしっかり示している日本共産党の前進が重要です。





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