2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」

どうする震災復興財源

日本共産党はこう考えます


 東日本大震災は未曽有の被害をもたらしました。地震と津波、東京電力福島原子力発電所の事故で破壊された市町村では、住宅も商店街も、役場も学校も、病院も道路も橋も一からつくり直さなければなりません。そのための復興財源をどう確保するのか、政治のあり方が問われます。(山田英明)


予算の抜本組み替え

 日本共産党は、復興財源を確保するために、2011年度予算を抜本的に組み替える大規模補正を行うよう提案しています。

 11年度予算は、大企業と大資産家に2兆円もの減税をばらまく一方、5兆円規模の軍事費は温存。今後5年間で1兆円もの「思いやり予算」(11年度は1858億円)を盛り込んでいます。

 11年度予算に盛り込まれた法人実効税率の5%引き下げや証券優遇税制の延長による約2兆円におよぶ大企業・大資産家減税は中止すべきです。

 歳出では、不要不急の大型公共事業の中止、米軍の「思いやり予算」やグアムの米軍基地建設費の中止、高速道路無料化の中止、原発の建設・推進経費を中止すべきです。

年間5兆円程度財源確保できる

 政党が国民の税金を山分けする政党助成金(320億円)を廃止すべきです。

 こうした予算の抜本組み替えで、年間5兆円程度の財源を確保することができます。

「復興国債」 大企業に引き受け要請

内部留保を活用

 巨額の復興財源を確保するために、国債を発行する必要が出てきた場合、日本共産党は、銀行や証券会社が参加する入札によって価格を決める従来の国債発行方式とは違った枠組みで、「震災復興国債」を発行することを提案しています。

 具体的には、たとえば現行の個人向け国債のように、企業や個人に直接引き受けてもらう方式です。

 すでに日本の国債発行は巨額にのぼり、国と地方の長期債務残高は892兆円(11年度末)に達しています。

 震災対策を理由に国債発行をさらに増やすことは、財政危機をいっそう深刻化させるとともに、国債が大量に市場に出回ることで、投機的な取引の対象になる懸念も膨らみます。

 別枠での「震災復興国債」の発行によって、こうした懸念を避けることができます。

 さらに、「震災復興国債」を、大企業に直接引き受けてもらうことで、約244兆円にのぼる大企業の内部留保を、復興と被災地域の経済対策に活用することができます。

 大企業には、社会的な責任として引き受けを要請します。

 「震災復興国債」とはいえ、国債は政府の借金です。期限がくれば償還が必要です。復興対策終了後には、震災復興国債を償還します。

 これまでの国と地方の借金の膨張は、大型公共事業のバラマキと軍事費の増大、行き過ぎた大企業・大資産家減税によってつくり出されてきました。

 財政危機を抜本的に解決し、復興財源を安定的に確保するためにも、歳入・歳出の抜本的見直しが必要です。

 予算のあらゆるムダをただすとともに、大企業・大資産家減税と軍事費という二つの聖域にメスを入れます。

被災者への増税では復興に逆行

 民主党の特別立法チームがまとめた「東日本大震災復旧復興対策基本法」(素案)は、財源として特別法人税や特別消費税の創設、「震災国債」の日本銀行による引き受けの検討を盛り込みました。

 被災者にも重くのしかかる消費税の増税はもってのほかです。復興にも逆行します。

 企業や個人にもうけに応じた負担を求める「応能負担の原則」にたった税制で、税収を確保すべきです。

 国債が市場に大量に出回ることの懸念から、日銀に直接引き受けさせる議論が起きています。これには政府内からも「ありえないことだし、絶対そういうことはさせない」(与謝野馨経済財政担当相、1日の記者会見)と批判の声が出ています。

 日銀引き受けは通貨の信認を失わせ、悪性インフレを招きます。従来の国債とは別枠での「震災復興国債」の発行こそ求められています。

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